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報道関係者各位
プレスリリース

2015.12.08 09:30
リベラル懇話会

このたび、人文社会系の研究者有志により、現在の与党に対して不満・不安を覚える市民にとっての有効な「受け皿」となりうるリベラル政党、健全な議会制民主主義が貫徹されるうえで与党に対する明確な対抗軸を提示しうる野党のあり方を原理的・政策的に考察し、実行可能性も重視した政治・政策パッケージを検討する研究会を設立いたしました。
2015年12月以降、岡田代表を中心とした民主党議員との勉強会を4回ほど実施し、2016年1月末を目途に、野党第一党である民主党を宛名とする意見書を提出することを目指します。


■リベラル懇話会について
本会は、経済学、法学、社会学、倫理学、教育学、ジェンダー研究、歴史学、地域研究、社会政策学の研究者、法曹、医師など計38名(及び委員外参加6名)により構成され、「厚みのある社会」の理念を明示化する「総論」を最大公約数として、「世論動向」「労働・雇用」「ジェンダー・セクシュアリティ」「社会的包摂/排除」「福祉・障がい」「国際関係」「教育」等の分科会にて、「可能なるリベラル」のための総合的政策パッケージを検討しています。

健全な経済成長をベースとしながら、経済学者アマルティア・センが提唱する人びとの「潜在能力」の自由と平等を実現し、「機会の平等vs結果の平等」という硬直した図式を乗り越え、多様かつ他様な人びとの「生き方の幅」を、社会的連帯の維持とともに考察していく――それが私たちの考える「厚みのある社会」「社会的包摂」の基本構想です。

<本会メンバーの基本的な合意事項>
私たちは低成長をよしとしません。「厚みのある社会」のためには、健全な経済成長が必要です。また、私たちは過度に美化された「理念」(それが右派的なものであれ左派的なものであれ)に屈従しません。実証的なデータや国際比較をもとにして、実行可能性を重視した政策を検討します。私たちは「自由」「平等」「博愛」といった近代的な「理念」を否定するのではなく、それが現実的に貫徹されうるための条件を模索します。実効性なき理念は空虚であり、理念なき「現実主義」は根なし草です。その両極をたんに「パッチワーク」するのではなく、理論的・実証的に整合的な形で追求していくことが私たちの課題です。

私たちは現在存在している「民主党」という特定政党を支持するものではありません。有志が共有した「ありうべきリベラル」の像に向けて民主党に呼びかけていくものの、会のメンバーは民主党支持者とは限りません。自民や公明、共産、社民、維新などの支持者もいるでしょう。しかし「もしこんなリベラル政党があれば…」という想定のもと、空虚でも根なし草でもないリベラルのあり方を提言し、その「可能なるリベラル」の実現に向けて自らの知的資源を提供する。それが、本会のメンバーの基本的な合意事項です。

<活動内容>
価値が多元化し、社会的連帯のよりどころがみえにくくなった現在、経済・法・教育・親密圏・学問の各領域の自律性を前提としつつ、個々人の自由を最大限に重視した「厚みのある社会」をどのように実現し、新たな連帯・社会的包摂を構築していくか。人文社会系の学問が蓄積してきた知的資源を動員し、野党のみならず、社会に向けて呼びかけ議論を喚起していきます。

岡田代表・長妻代表代行等の民主党議員を交えた第一回勉強会を12月15日午前に行います。あわせて、同日13:00より記者会見を、衆議院第一議員会館会議室にて行います。


【リベラル懇話会委員】
江原由美子 首都大学東京・教授    ジェンダー・セクシュアリティ
井口高志  奈良女子大学・准教授   福祉・障がい
稲葉振一郎 明治学院大学・教授    経済
伊勢崎賢治 東京外国語大学・教授   国際関係
石原俊   明治学院大学・准教授   社会的排除・包摂
垣田裕介  大分大学・准教授     社会的排除・包摂
川瀬貴也  京都府立大学・准教授   歴史認識
川本隆史  国際基督教大学・教授   総論
岸政彦   龍谷大学・准教授     社会的排除・包摂
北田暁大  東京大学・教授      総論、世論動向
高史明   神奈川大学・講師     社会的排除・包摂
小宮友根  東北学院大学・准教授   ジェンダー・セクシュアリティ
前田拓也  神戸学院大学・准教授   福祉・障がい
仁平典宏  東京大学・准教授     教育・研究
能川元一  大学講師         歴史認識
小田川大典 岡山大学・教授      総論
大賀哲   九州大学・准教授     国際関係
岡部耕典  早稲田大学・教授     福祉・障がい
隠岐さや香 広島大学・准教授     教育・研究
斉藤正美  富山大学・講師      歴史認識
齋藤直子  大阪市立大学・特任准教授 社会的排除・包摂
澤田稔   上智大学・教授      教育・研究
清水晶子  東京大学・准教授     ジェンダー・セクシュアリティ
高橋準   福島大学・教授      ジェンダー・セクシュアリティ
谷口洋幸  高岡法科大学・准教授   ジェンダー・セクシュアリティ
筒井淳也  立命館大学・教授     労働・雇用・少子化
土屋葉   愛知大学・准教授     福祉・障がい
堤圭史郎  福岡県立大学・准教授   社会的排除・包摂
山口智美  モンタナ州立大学・准教授 歴史認識
山根純佳  実践女子大学・准教授   ジェンダー・セクシュアリティ

※ほか匿名参加8名、委員外協力6名。2015年12月4日現在。

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