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報道関係者各位
プレスリリース

2014.12.17 13:00
日東薬品工業株式会社

 OTC医薬品の製造販売を手がける日東薬品工業株式会社(本社:京都府向日市、代表取締役社長:北尾哲郎、以下「日東薬品」)は、石川県立大学 生物資源工学研究所(山本憲二教授、松崎千秋博士)、広島大学 大学院生物圏科学研究科(田辺創一教授)との共同研究で、乳酸菌(Leuconostoc mesenteroides subsp. mesenteroides NTM048株、以下「NTM048株」)とその菌体外多糖(以下「EPS」)に免疫力を高める効果があることを明らかにしました。
 本研究結果を、2014年12月13日(土)から実施された「第12回日本機能性食品医用学会総会」のランチョンセミナーにて発表しました。

(松崎千秋博士の「崎」は旧字であり、正式には山へんに立・可になります。)


■免疫力を高める乳酸菌と菌体外多糖 ─ 乳酸菌NTM048株とそのEPS ─
 近年、乳酸菌には整腸作用などの健康効果があることが報告されており、そんな中、乳酸菌が産生する物質についても注目が集まっています。

 日東薬品は石川県立大学 生物資源工学研究所(山本憲二教授、松崎千秋博士)との共同研究を通じ、日東薬品の乳酸菌ライブラリー約170株の中で、エンドウマメから単離した乳酸菌(NTM048株)に免疫力を高める効果があることと、独特なネバネバ物質である菌体外多糖(EPS)を多く産生することを確認しました。

 さらに、広島大学 大学院生物圏科学研究科(田辺創一教授)との共同研究により、NTM048株が産生するEPSには、免疫機能の異常によって引き起こされる疾患(以下「免疫疾患」)における炎症を抑制する効果があることを明らかにしました。


■実験結果
(1) マウスを用いた実験で、NTM048株に以下の効果があることを確認しました。
 ・腸管粘膜での抗体(IgA[※1])分泌量を増加
 ・脾臓のヘルパーT細胞[※2]の機能を調節

(2) 細胞(マウス脾細胞)を用いた実験で、NTM048株のEPSに以下の効果があることを確認しました。
 ・免疫疾患の原因となる炎症性サイトカイン(IL-17)[※3]産生量を抑制

 以上の結果から、NTM048株の菌体とそのEPSには、免疫力を高める効果があることが示唆されます。また、炎症性サイトカインであるIL-17の産生を抑制することから、アトピー性皮膚炎、乾癬などのIL-17に関連した免疫疾患の予防や治療に役立つ可能性があると考えられます。

 本研究結果より、NTM048株とそのEPSの医薬品分野、機能性食品分野への応用が期待できます。日東薬品はNTM048株とそのEPSについて、食品分野での1年後の事業化を目指すと共に、引き続きNTM048株及びEPSが持つ有用性の研究に取り組み、応用分野への可能性を模索していきます。

[※1] IgAとは:
 ヒトの自然抗体である免疫グロブリンAのこと。侵入してきた抗原に応答することにより腸管上皮細胞から多量に分泌され、腸管粘膜を保護し、抗原の腸管への侵入を防御しています。

[※2] ヘルパーT細胞とは:
 免疫応答に関与するリンパ球の1つ。抗原の情報をB細胞へ伝えて抗体の産生を誘導したり、免疫応答を誘導する液性因子を放出することにより、免疫反応の司令塔として働きます。

[※3] 炎症性サイトカイン(IL-17)とは:
 血管内皮細胞、マクロファージなど種々の細胞に作用して、様々な炎症性メディエーターの発現を誘導する分子のこと。


■会社概要
名称  : 日東薬品工業株式会社
所在地 : 京都府向日市上植野町南開35-3
代表者 : 代表取締役社長 北尾哲郎
事業内容: 医薬品の研究開発、製造販売、機能性食品の研究開発
URL   : http://www.nitto-pharma.co.jp/

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