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報道関係者各位
プレスリリース

2021.06.25 17:30
日本労働組合総連合会(連合)

日本労働組合総連合会(略称:連合、所在地:東京都千代田区、会長:神津 里季生)は、国連の専門機関として労働問題を取り扱うILO(国際労働機関)の活動に、日本の労働者の代表として参加しています。2021年6月25日には、ILO「仕事の世界における暴力とハラスメントの根絶」に関する第190号条約が発効します。この条約は、ハラスメントに特化した初の国際基準で、連合は、あらゆるハラスメントを根絶するために、条約の批准を日本政府に求めています。

また、国内では2020年6月にハラスメント対策関連法が施行されて1年経ったことから、職場におけるハラスメントの実態を把握するため、「仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2021」を2021年6月4日~6月8日の5日間でインターネットリサーチにより実施し、全国の20歳~59歳の有職男女(自ら起業した者や経営者、自営業者などを除く)1,000名の有効サンプルを集計しました(調査協力機関:ネットエイジア株式会社)。


[調査結果]

≪ハラスメント対策関連法にもとづく職場の対策≫

◆法で定める措置義務はいずれも低い実施率

◆「職場でパワハラの内容・方針の明確化や周知・啓発に関して何も行われていない」40.0%

◆「セクハラを行った者への対処方針・対処内容を規定している」は5.6%にとどまる


全国の20歳~59歳の有職者(※)1,000名(全回答者)に、職場におけるハラスメントについて質問しました。

※ 民間企業や組織等の職場における労働者の実態を把握することが目的のため、自ら起業した者や自営業者、会社役員・経営者は除いた。


まず、ハラスメント対策関連法で定められている「措置義務」や「望ましい取組」について、職場での対策が取られているか質問しました。

全回答者(1,000名)に、自身の職場で、“ハラスメントの内容・方針の明確化、周知・啓発”に関して行われていることを聞いたところ、<パワー・ハラスメント>では「とくになし」が40.0%となりました。「わからない」も29.1%であることから、パワハラがどのようなものであるかということや、パワハラ行為を禁止・防止する方針、行為者への対処方法などを示すことについて、具体的な取り組みを行っていない職場は多く、行っていたとしても知られていないようです。また、<セクシュアル・ハラスメント>や<マタニティ・ハラスメント>、<ケア・ハラスメント>についても、「とくになし」(順に41.4%、44.6%、45.1%)が最も高くなりました。

「ハラスメントの内容が明確化されている」、「ハラスメント防止の方針がある(「禁止」とは明記されていない)」、「ハラスメントを行った者への対処方針・対処の内容を規定(就業規則等で)」は、いずれもハラスメント対策関連法で定められた措置義務であり(パワハラに関する措置は、中小企業は2021年3月31日までは努力義務。以下同じ)、法律がまだ浸透していないといえるのではないでしょうか。

なお、法を上回る取り組みである「ハラスメント禁止の方針がある(「禁止」と明記されている)」は、パワー・ハラスメント15.8%、セクシュアル・ハラスメント13.4%、マタニティ・ハラスメント7.8%、ケア・ハラスメント6.4%でした。


◆パワハラの相談窓口の整備状況 「相談窓口が設置されている」20.7%、「相談窓口の担当者が相談に適切に対応できる体制が整備されている」は5.6%にとどまる


全回答者(1,000名)に、自身の職場で、“ハラスメントの相談窓口”に関して行われていることを聞いたところ、<パワー・ハラスメント>、<セクシュアル・ハラスメント>、<マタニティ・ハラスメント>、<ケア・ハラスメント>のいずれも、「とくになし」(順に42.5%、42.5%、45.8%、45.6%)が最も高くなりました。

ハラスメントの相談窓口に関して職場でなされている対応を見ると、「相談窓口の設置」(パワー・ハラスメント20.7%、セクシュアル・ハラスメント19.2%、マタニティ・ハラスメント13.2%、ケア・ハラスメント11.7%)が最も高くなったものの、相談窓口に関して十分な対応がとられていない実態が明らかとなりました。「相談窓口があることの周知(資料が配布されている、掲示板に掲示されている等)」(パワー・ハラスメント14.9%、セクシュアル・ハラスメント14.7%、マタニティ・ハラスメント8.1%、ケア・ハラスメント7.7%)や「相談窓口の担当者が相談に適切に対応できる体制の整備」(パワー・ハラスメント5.6%、セクシュアル・ハラスメント5.2%、マタニティ・ハラスメント3.9%、ケア・ハラスメント3.9%)といった対策を実際に講じることのできている職場は少ないとわかりました。

これらについてもハラスメント対策関連法で定める措置義務であり、「とくになし」や「わからない」(パワー・ハラスメント28.9%、セクシュアル・ハラスメント30.3%、マタニティ・ハラスメント35.7%、ケア・ハラスメント36.9%)の多さは、法や制度の社内周知に課題があるといえ、事業主のさらなる努力が求められます。


◆「パワハラ事例が起きても、職場でとくに対応がとられていない」38.0%


全回答者(1,000名)に、自身の職場で、“ハラスメントが起きた際の対応”として行われていることを聞いたところ、<パワー・ハラスメント>、<セクシュアル・ハラスメント>、<マタニティ・ハラスメント>、<ケア・ハラスメント>いずれについても、「とくになし」(順に38.0%、38.6%、39.0%、39.9%)が最も高くなりました。

ハラスメントが起きた際の対応として行われていることを見ると、いずれのハラスメントにおいても「迅速かつ正確な事実確認」(パワー・ハラスメント11.5%、セクシュアル・ハラスメント9.8%、マタニティ・ハラスメント8.6%、ケア・ハラスメント8.3%)が最も高く、次いで、「速やかかつ適正な被害者に対する配慮のための措置(被害者と行為者を引き離すための配置転換等)」(パワー・ハラスメント9.0%、セクシュアル・ハラスメント7.9%、マタニティ・ハラスメント6.0%、ケア・ハラスメント6.1%)となりました。そのほか、「再発防止に向けた措置」(パワー・ハラスメント4.9%、セクシュアル・ハラスメント4.4%、マタニティ・ハラスメント4.0%、ケア・ハラスメント3.3%)や「相談者のプライバシーを保護するために必要な措置」(パワー・ハラスメント4.8%、セクシュアル・ハラスメント4.2%、マタニティ・ハラスメント3.4%、ケア・ハラスメント3.2%)などはいずれのハラスメントについても5%に満たない結果となっており、ハラスメント被害者の保護に資する対応が十分に行われていない実態が明らかとなりました。

これらもハラスメント対策関連法で定める措置義務であることから、取り組み状況は極めて不十分といえます。


◆ハラスメント防止のために行われている取組 1位「各種ハラスメントの一元的な相談体制の整備」

◆「インターンシップや求職者(就活生等)へのハラスメントに関する規定がある」6.5%


全回答者(1,000名)に、自身の職場でハラスメント防止のために行われている取組を聞いたところ、「各種ハラスメントの一元的な相談体制の整備」(13.9%)が最も高く、「コミュニケーションの活性化・円滑化のための取組」(9.7%)、「適正な業務目標の設定等の職場環境改善のための取組」(7.6%)が続きました。

ハラスメント対策関連法で「望ましい取組」とされている、これらの取組がされている一方で、マタハラ・ケアハラの「措置義務」である「妊娠等の実情に応じた業務体制の整備」は5.1%にとどまっています。


また、ハラスメントに関する規定の有無を聞いたところ、<インターンシップや求職者(就活生等)へのハラスメントに関する規定>では「ある」は6.5%、<取引先や顧客等からのハラスメントに関する規定>では「ある」は6.8%となりました。第三者との関係でのハラスメント防止のために規定を設けて環境整備に取り組んでいる職場は少ないことがわかりました。


≪ハラスメントに関する条約や法律≫

◆「ILO第190号条約の内容を知っている」8.0%、「日本のハラスメント対策関連法の内容を知っている」12.4%

◆「日本のハラスメント対策関連法がILO条約の水準に達していないことを知っている」ILO条約と日本のハラスメント対策関連法の両方を認知している人の83.3%。また、91.7%は「日本のハラスメント対策関連法の内容をILO条約の水準にあわせたほうがいい」という意見に同意


全回答者(1,000名)に、ILO「仕事の世界における暴力とハラスメントの根絶」に関する第190号条約と日本のハラスメント対策関連法の認知状況を聞いたところ、<ILO条約の内容>を「知っている」は8.0%、<日本のハラスメント対策関連法の内容>を「知っている」は12.4%となりました。


ILO条約と日本のハラスメント対策関連法を知っている人(72名)に、日本のハラスメント対策関連法がILO条約の水準に達していないことを知っているか聞いたところ、「知っている」は83.3%、「知らない」は16.7%となりました。


また、日本のハラスメント対策関連法の内容をILO条約の水準にあわせたほうがいいと思うか聞いたところ、「そう思う」は91.7%と、法律や条約の内容を知っている人の大多数が必要性を感じていることがわかりました。


≪職場におけるハラスメント≫

◆「職場でハラスメントを受けたことがある」働く人の32.4%、40代男性では42.4%


全回答者(1,000名)に、職場におけるハラスメントについて質問しました。


職場でハラスメントを受けたことがある人の割合を見ると32.4%と、およそ3人に1人の割合でした。職場でハラスメントの被害に遭った経験がある人は少なくないようです。

男女・世代別に見ると、ハラスメントを受けたことがある人の割合は、パワハラを受けた率が他の層と比べて高い40代男性(42.4%)が特に高く、次いで、30代女性と50代女性(いずれも35.2%)となりました。

ハラスメントを受けたことがある人の割合は、2019年の調査結果と比較すると、37.5%→32.4%と5.1ポイント下降しました。


◆職場でハラスメント被害を受けた率 「パワハラ」27.6%、「セクハラ」8.5%、「マタハラ」1.7%、「ケアハラ」2.1%、「SOGIハラ」2.2%、「ジェンダー・ハラスメント」4.2%、「コロナ・ハラスメント」3.1%

◆「パワハラ」は40代男性の40.0%、「セクハラ」は30代女性の16.8%が被害を受けた経験があると回答


また、職場で受けたことのあるハラスメントを聞いたところ、「パワー・ハラスメント」が27.6%、「セクシュアル・ハラスメント」は8.5%、「マタニティ・ハラスメント」は1.7%、「ケア(育児・介護)・ハラスメント」は2.1%、「性的指向・性自認(SOGI)に関するハラスメント」は2.2%、「ジェンダー・ハラスメント」は4.2%、「新型コロナウイルス感染症に関するハラスメント」は3.1%と、パワハラが特に高くなりました。職場で嫌がらせやいじめを受け、尊厳を傷つけられたり、身体的・精神的苦痛を与えられたりした経験があるという人は少なくないようです。

男女・世代別に見ると、40代男性では「パワー・ハラスメント」(40.0%)、20代女性と30代女性では「セクシュアル・ハラスメント」(順に12.0%、16.8%)が他の層と比べて高くなったほか、40代女性と50代女性では「ケア(育児・介護)・ハラスメント」(いずれも4.0%)、20代男性では「性的指向・性自認(SOGI)に関するハラスメント」(4.0%)が他の層と比べてやや高くなりました。


◆受けたパワハラの行為 「脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などの精神的な攻撃」が43.8%、「隔離・仲間外し・無視などの人間関係からの切り離し」が28.6%、「私的なことに過度に立ち入ることなどの個の侵害」が23.2%

◆受けたセクハラの行為 「性的な冗談やからかい」が44.7%、「必要ない身体への接触」が24.7%

◆受けたジェンダー・ハラスメントの行為 「性別役割分担意識にもとづく冗談やからかい」が61.9%

◆受けたコロナ・ハラスメントの行為 「体調不良でも休ませてもらえない」と「感染対策をしない」が22.6%、「感染したことを理由とした嫌がらせ」が19.4%


職場で受けたことのあるハラスメントについて、それぞれどのような行為を受けたことがあるか聞きました。


職場でパワー・ハラスメントを受けたことがある人(276名)が、どのような行為を受けたのか見ると、「脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などの精神的な攻撃」が43.8%で最も多く、「隔離・仲間外し・無視などの人間関係からの切り離し」が28.6%、「業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害などの過大な要求」が22.5%など、パワハラとされる行為の中でも、威圧的な態度で脅す・名誉や尊厳を傷つける・心ない言葉を浴びせるなどの精神的な攻撃が多く行われているようです。そのほか、「私的なことに過度に立ち入ることなどの個の侵害」は23.2%となりました。

男女別に見ると、男性では「暴行・傷害などの身体的な攻撃」が12.5%、「脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などの精神的な攻撃」が46.5%、「業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害などの過大な要求」が25.7%と、女性(順に4.5%、40.9%、18.9%)と比べて5ポイント以上高くなり、他方、女性では「私的なことに過度に立ち入ることなどの個の侵害」が26.5%と、男性(20.1%)と比べて5ポイント以上高くなりました。


職場でセクシュアル・ハラスメントを受けたことがある人(85名)が、どのような行為を受けたのか見ると、「性的な冗談やからかい」が44.7%と最も多く、「必要ない身体への接触」が24.7%、「食事やデートへの執拗な誘い」が20.0%と続きました。

なお、「性的な内容の情報(噂)の流布」(男性19.2%、女性1.7%)、「個人的な性的体験談を聞かせる」(男性15.4%、女性6.8%)は男性が多く受けており、「食事やデートへの執拗な誘い」(男性0.0%、女性28.8%)、「必要ない身体への接触」(男性11.5%、女性30.5%)は女性が多く受けているという男女差が見られました。


職場でジェンダー・ハラスメントを受けたことがある人(42名)が、どのような行為を受けたのか見ると、「性別役割分担意識にもとづく冗談やからかい」が61.9%、「性別役割分担意識にもとづく嫌がらせ」と「性別役割分担意識にもとづく強要」が40.5%となりました。

男女別に見ると、「性別役割分担意識にもとづく嫌がらせ」を受けた男性は66.7%、女性は30.0%と大きな差が見られました。


職場で新型コロナウイルス感染症に関するハラスメントを受けたことがある人(31名)が、どのような行為を受けたのか見ると、「感染したことを理由とした嫌がらせ(暴言、過度な休職の強要等)」が19.4%、「体調不良でも休ませてもらえない」と「感染対策をしない(マスク着用拒否・マスク外し強要等による職場環境の悪化)」が22.6%などとなりました。


◆ハラスメント被害経験者が受けた各ハラスメントの行為者 いずれも「上司」が最多

 パワハラ、セクハラ、ジェンダー・ハラスメント、コロナ・ハラスメントでは「上司」がそれぞれ70%超とダントツ

 ジェンダー・ハラスメントでは「先輩」が50.0%


では、ハラスメントを誰から受けたケースが多いのでしょうか。


それぞれのハラスメントを受けたことがある人に、自身が受けたことのあるハラスメントの行為者を聞いたところ、<パワー・ハラスメント>では「上司」(77.5%)が突出して高くなり、<セクシュアル・ハラスメント>や<ジェンダー・ハラスメント>、<新型コロナウイルス感染症に関するハラスメント>などでも「上司」(順に76.5%、78.6%、74.2%)が特に高くなりました。

また、<ジェンダー・ハラスメント>では「先輩」(50.0%)、<新型コロナウイルス感染症に関するハラスメント>では「部下」(9.7%)が他のハラスメントと比べて高くなりました。なお、「同僚」からのハラスメントは、<セクシュアル・ハラスメント>、<マタニティ・ハラスメント>、<ケア・ハラスメント>、<ジェンダー・ハラスメント>で30%程度を占めています。


◆ハラスメント行為者ごとの各ハラスメント発生割合 どの行為者においてもパワハラが大半を占める傾向

 上司・先輩から受けることの多いハラスメントは「脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などの精神的な攻撃」、同僚・後輩から受けることの多いハラスメントは「隔離・仲間外し・無視などの人間関係からの切り離し」


ここで、行為者ごとに各ハラスメントの発生割合を算出したところ、行為者が≪上司≫・≪先輩≫というケースでは「精神的な攻撃」(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などの精神的な攻撃)が17.9%(上司)・17.6%(先輩)で最も高くなり、行為者が≪同僚≫・≪後輩≫というケースでは「人間関係からの切り離し」(隔離・仲間外し・無視などの人間関係からの切り離し)が18.1%(同僚)・23.4%(後輩)で最も高くなり、パワハラに該当するハラスメントが目立ちました。

また、行為者が≪取引先≫というケースでは「セクシュアル・ハラスメント」が18.5%、行為者が≪顧客(消費者)≫というケースではパワハラに該当する「精神的な攻撃」(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などの精神的な攻撃)が26.5%で最も高くなりました。


◆「ハラスメントを受けても誰にも相談しなかった」ハラスメント被害経験者の43.2%

◆ハラスメントを受けても誰にも相談しなかった理由

 1位「相談しても無駄だと思ったから」2位「相談するとまた不快な思いをすると思ったから」


次に、職場でハラスメントを受けたことがある人(324名)に、ハラスメントを受けたとき、誰かに相談したか聞いたところ、「相談した」は56.8%、「誰にも相談しなかった」は43.2%となりました。

男女別に見ると、男性では「誰にも相談しなかった」は53.5%と、女性(33.5%)と比べて20.0ポイント高くなりました。


職場でハラスメントを受けたときに誰かに相談した人(184名)に、相談した相手を聞いたところ、「職場の上司・先輩」(44.0%)が最も高く、次いで、「職場の同僚」(29.9%)、「家族」(25.0%)となりました。そのほか、「人事担当者」(8.7%)や「職場の相談窓口」(3.8%)、「労働組合」(2.2%)などは1割未満にとどまりました。

男女別に見ると、女性では「職場の同僚」が36.0%、「家族」が32.4%と、男性(順に20.5%、13.7%)と比べて15ポイント以上高くなりました。

人事担当者や相談窓口への相談割合が低く、それらが機能していない、または信用できない、もしくは周知が足りていないことが考えられます。また、同様の理由からか、労働組合への相談割合も低く、取組の周知などが求められます。


他方、職場でハラスメントを受けたときに誰にも相談しなかった人(140名)に、相談しなかった理由を聞いたところ、「相談しても無駄だと思ったから」(66.4%)が特に高くなりました。ハラスメント被害について誰かに相談しても状況は改善しないと感じた人が多いようです。以降、「相談するとまた不快な思いをすると思ったから」(26.4%)、「自分さえ我慢すれば、相談するほどのことではないと思ったから」(21.4%)、「誰に相談してよいのかわからなかったから」(15.7%)が続きました。

男女別に見ると、女性では「自分さえ我慢すれば、相談するほどのことではないと思ったから」が30.4%、「誰に相談してよいのかわからなかったから」が25.0%と、男性(順に15.5%、9.5%)と比べて約15ポイント高くなりました。一方、男性では「相手の仕返しが怖かったから」が8.3%、「世間体が悪く、周囲と付き合いづらくなるから」が8.3%と、女性(いずれも3.6%)の倍以上となりました。


◆ハラスメント被害が生活に及ぼす影響 ハラスメント被害経験者の56.8%が「仕事のやる気がなくなった」、24.1%が「心身に不調をきたした」、22.5%が「仕事をやめた・変えた」と回答


職場でハラスメントを受けたことがある人(324名)に、ハラスメントを受けたことで、どのような生活上の変化があったか聞いたところ、「仕事のやる気がなくなった」(56.8%)が突出して高く、次いで、「心身に不調をきたした」(24.1%)、「仕事をやめた・変えた」(22.5%)となりました。ハラスメントが仕事のモチベーションや心身の健康に悪影響を及ぼしたり、仕事の継続を困難にさせたりしている実態が明らかとなりました。以降、「夜、眠れなくなった」(18.5%)、「仕事のミスやトラブルが多くなった」(17.6%)が続きました。

男女・世代別に見ると、30代女性と40代女性では「心身に不調をきたした」(順に31.8%、30.2%)、50代女性では「夜、眠れなくなった」(27.3%)や「自分が価値のない存在になったと感じた」(18.2%)、20代男性では「仕事のミスやトラブルが多くなった」(26.5%)が他の層と比べて高くなりました。また、30代男性と40代男性では「仕事のやる気がなくなった」(順に65.7%、67.9%)、30代男性・30代女性・40代女性では「仕事をやめた・変えた」(順に28.6%、29.5%、32.6%)が高くなりました。職場の中心でもある30代、40代で「仕事のやる気がなくなった」「仕事をやめた・変えた」が多いことは、職場にとっても損失であり、対策が求められます。


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