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報道関係者各位
プレスリリース

2021.06.21 11:00
千葉工業大学 トッパン・フォームズ株式会社

 UX(ユーザーエクスペリエンス)や人間中心設計などの研究を行う千葉工業大学先進工学部安藤研究室(以下安藤研究室)とトッパン・フォームズ株式会社(以下トッパンフォームズ)は、生活者がダイレクトメール(以下DM)を受け取った際の認知と行動に関する調査・分析を行い、DMの体験価値を左右する評価基準として「新しい情報への出会いの期待度」と「DMの必要性の認識」の2つのポイントが関連していることを確認することができました。

 

【研究概要】

 今回、DMなどの各種通知物に対する生活者の考え方や、DMを受け取った後の生活者の態度を明らかにすることを目的に、定性調査と調査結果の分析を行いました。定性調査では、トッパンフォームズの社員30名を対象としたワークショップ形式の調査と、20代~60代の男女1,000名を対象としたアンケート調査を実施。その結果、「新しい情報への出会いの期待度」と「DMの必要性の認識」という2つの評価基準が、DMを受け取った後の消費行動や情報取得の取捨選択に影響があると確認できました。

 「新しい情報への出会いの期待度」とは、生活者が受け取ったDMなどの広告情報の中から、役立つ・関心のある情報にどの程度自ら出会いたいと感じているかという尺度を意味しています。また、「DMの必要性の認識」とは、生活者が生活に関する重要なDMと広告情報が中心のDMをどの程度明確に区別し、広告情報をどの程度活用しているかという尺度を意味しています。

 次に、調査によって分かった2つの評価基準を組み合わせ、DMの受け取り手の態度を4パターンに分類。(※図1)その態度分類を用いてDMを受け取った消費者の行動特性を分析しました。(※図2)その結果、生活者が「有益な情報が得られる」と感じたDMなどの通知物を、その後も継続的に受け取るという行動において、受け取り手は自分にとって知らないと不利益になる情報を重要情報として保存し、その中で利用できる有益情報がその後の消費行動につながる傾向があることを確認できました。

 今回の研究結果は、2021年 5月 22日(土)、23日(日)に開催された日本消費者行動研究学会「第62回消費者行動研究コンファレンス」にて研究報告を行いました。

図1:受け取り手の態度分類(カッコ内はアンケート調査において分類された件数)

 

図2:態度分類ごとのDM受け取り後の行動

 

【背景】

 DMは現在も有力なメディアの一つであり、本人宛のDMの開封率は63.1%、受け取り手が開封後に何らかの行動を行う行動喚起率は15.1%*1と調査結果が出ています。このようなDMのメディアとしての特性を示す指標がある一方、生活者のDMに対する考え方や態度について体系的な調査・検討が実施されるケースは少ないのが実情です。受け取り手にとってDMがどのような体験価値として認識されているのかを明らかにすることは、DMが生活者中心のメディアとして発展していくために不可欠です。

 

【今後の展開】

 トッパンフォームズは、今後も企業のCX(カスタマーエクスペリエンス:顧客体験)向上を目的に、安藤研究室と共同で通知に関するUXを研究し、受け取り手が価値を感じる情報体験の提供に取り組んでいきます。

 また、研究・共創空間である「LABOLIS X」*2を継続的に活用して、企業や自治体、大学、研究機関などと協業を行い、CXに関する独自の研究、共創、実証を加速させていきます。

 

以上


*1 一般社団法人 日本ダイレクトメール協会調べ

*2 「LABOLIS (ラボリス)」は、 Laboratory(研究室)と Listening(生活者の声を聞く)を組み合わせた当社オリジナルの造語。「X(クロス)」は 、交差する意味合いと、eXperience (体験、経験)の「X」を表現しています。

※「LABOLIS X/ラボリス クロス」は、トッパン・フォームズ株式会社の登録商標です。


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