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報道関係者各位
プレスリリース

2021.03.02 10:00
学校法人 工学院大学 広報課

工学院大学(学長:佐藤 光史、所在地:東京都新宿区/八王子市)の岡田 文雄教授(先進工学部環境化学科)は、促進酸化水を簡便かつ安全に製造する装置を開発し、豚コロナウイルス(新型コロナウイルスの代替ウイルス)を用いた実験で99.9%不活化できることを確認しました。


家庭用を想定した試作品は、手に載るコンパクトなサイズです。ふつうの浄水器のように取り付けて水道水を通すだけで除菌効果の高い水になるので、日常的な除菌作業がこれまでより手軽に費用を抑えて実施できる見込みです。装置は大型化にも対応しやすい仕様で、飲食店の厨房、食品工場、病院、高齢者施設、農場、家畜の飼育場などに設置するサイズも設計可能です。この成果は、岡田 文雄教授とタイキ工業株式会社(代表取締役:浦 城勝、本社:東京都墨田区)による共同研究によるもので、同グループは商品化を担う企業を募っています。


促進酸化水9mLによる13万個の豚コロナウイルス不活化結果


小型促進酸化水製造装置の断面図(水道水を促進酸化水に変換)


●促進酸化水とは、オゾンと過酸化水素を含有した水のことで、OHラジカルを効率良く生成するため強い殺菌洗浄力を示します。また、使用後のオゾンは水と酸素に戻るため、中和等の後処理が不要で環境に負荷をかけません。

●促進酸化水のOHラジカル濃度(殺菌洗浄能力)は、同濃度のオゾン水に比べて2~5倍と推定されています。

●溶存オゾン濃度は0.5~1mg/L程度、過酸化水素濃度は0.1~0.3mg/L程度で十分な殺菌洗浄力を示します。

●水電解方式では0.2~40L/min、気液ミキサーと放電式オゾナイザーを組合せた方式では50~100L/minの促進酸化水を製造することが可能です。必要な流量の促進酸化水を製造する装置も設計、試作できます。

●上記のどちらの方法においても、オゾンガスを水に100%溶解できるので、危険な気相オゾンの生成が無く、安全に促進酸化水を製造できます。

●水電解方式の装置は酸素ガス等も必要とせず、水道水と家庭用電源(100V)のみで運転できます。このため、消費電力も15W(4L/min製造時)~300W(40L/min製造時)と小さく、薬品代がゼロで使うほど単価は下がります。

●今後は、一般家庭用の小型装置、小工場、病院、高齢者施設用の中型装置、農場や家畜の飼育場など一度に広いスペースを殺菌消毒することができる大型装置等、様々な分野で利用する装置の商品化が期待されます。



■参考:岡田文雄教授の研究論文、著書、関連特許

●学術論文(査読付き)

掲載誌、号数など:J. Chem. Eng. Jpn. 51(1), 6-15 (2018).

論文名     :Electrochemical Ozone Water Production with External

         Gas-Liquid Mixer

●技術解説文

掲載誌、号数など:ケミカルエンジニアリング 65(9), pp.567-573 (2020).

論文名     :水道水と家庭用電源で作る機能水 - 新型コロナウイルスの

         不活化を目指して

●著書

書籍名、出版社 :クリーンルーム((株)技術情報協会, 2020).

本件関連個所  :クリーンルームの微小異物・汚染物質対策と作業員教育,

         10章8節 pp.457-468 (2020)

●特許(その1)

番号   :PCT/JP2020/7520

出願人  :学校法人工学院大学

発明者  :岡田 文雄

国際出願日:2020年2月25日

名称   :水電解装置及び水電解装置を用いた

      殺菌洗浄方法並びに有害物質分解・除去方法

●特許(その2)

番号 :特願2021- 9087

出願人:学校法人工学院大学

発明者:岡田 文雄

出願日:2021年1月22日

名称 :気液混合装置



<製品化に関するご相談>

工学院大学 研究推進室

担当: 岩澤・山岸・西原

TEL : 042-628-4940

MAIL: sangaku@sc.kogakuin.ac.jp

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