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報道関係者各位
プレスリリース

2021.01.27 08:00
ひとり情シス・ワーキンググループ

ひとり情シス・ワーキンググループは、従業員100名から500名までの独立系、大手企業グループ会社系の日本国内全ての中堅企業を対象に、「ひとり情シス実態調査」と「中堅企業IT投資動向調査」を実施しました。約半数の中堅企業が、来年度の景気状況を不安視しているものの、IT予算を増加する企業は38.2%であり、減少する企業の26.3%を上回っています。同時に、「ひとり情シス」を取り巻く環境にも新しい変化が見られます。その速報値を報告いたします。


ひとり情シス実態調査


「ひとり情シス」とは、中小中堅企業において社内の情報システムを一人で担当しているスタッフのことです。「ひとり情シス」は、慢性的に業務多忙な状態にあります。2020年は、かつて想像しえない事態が起こり、「ひとり情シス」をはじめ、「兼任情シス」や「少人数情シス」は緊急の問題に対応を余儀なくされました。しかも、その間もデジタルトランスフォーメーションへの取り組みなどの企業競争力強化への対応も迫られています。80%を超える企業がIT人材の不足を感じており、多くの中堅企業が今後のITやデジタル化についての課題や悩みを抱えています。「ひとり情シス」が悲惨な状況にあると多くのプロモーションで喧伝されるなか、リアルな実情を探ることで「ひとり情シス」の新しい傾向が見えてきました。他の「ひとり情シス」企業と比較することで、今後のIT・デジタル化の参考の一助になればと考えています。


・調査名  :「ひとり情シス実態調査」、「中堅企業IT投資動向調査」

・調査期間 :2020年12月14日(月)~2020年12月31日(木)

・調査方法 :インターネット調査およびスポンサー企業データベースパネル調査

・調査企業 :従業員100名から500名までの独立系、大手企業グループ系中堅企業

・調査対象者:ITの意思決定に関与する方

・有効回答数:1,673名


ひとり情シス・ワーキンググループとは、『ひとり情シス』(東洋経済新報社)の著者である清水 博が座長となり、『ひとり情シス 虎ノ巻』(日経BP社)の著書である黒田光洋をはじめ、「ひとり情シス」経験者が集まって「ひとり情シス」へ支援するワーキンググループです。


ひとり情シス・ワーキンググループ

https://www.promitwo.org/



■「ひとり情シス」10の新しい傾向


1. 新たなひとり情シスの増加


「ひとり情シス」企業自体は32.6%と微増である。しかし、情シスが一人から二人に増えて「ふたり情シス」になった企業は13.2%、専任担当者が不在の「ゼロ情シス」に初めて「ひとり情シス」が現れた企業は14.7%と、「ひとり情シス」の内訳に変化があることが分かった。大手企業のグループ会社では、19.4%の企業で「ひとり情シス」が確認された。本来の所属が総務や経理などの「兼任型情シス」もこの対象に含んでいる。


初めてひとり情シスを任命する企業とひとり情シスから増員する企業


2. 21%が苦悩するジュニアひとり情シス


「ひとり情シス」経験3年未満の「ジュニアひとり情シス」が21.3%存在することが判明。73.4%は自分自身がスキル不足と認識しており、スキル習熟に焦りを感じていることが分かった。しかしながら、58.7%が「ひとり情シス」にやりがいを感じており、試行錯誤しながらも会社への貢献を模索している実態が明らかになった。



3. ひとり情シスの転職元の52%はITベンダー


ユーザー系企業からスライドする「ひとり情シス」の転職は41.3%であった。一方で、高度化するITやデジタルニーズに対応すべく、ITベンダーからユーザー系企業への「ひとり情シス」の転職が急増しており、転職者の51.7%を占めていた。ITベンダーからユーザー系企業への転職は、今後のトレンドになる可能性がある。


ひとり情シスの転職元企業


4. ひとり情シス企業の25%が悲惨な状況にある


「ひとり情シス」の職場は悲惨だと喧伝されているが、「仕事内容に満足していない」、「現状の仕事内容に見合った給料を得ていない」、「モチベーションが低い」の3つの項目に該当するひとり情シスは24.8%であった。実に1/4の「ひとり情シス」企業では悲惨な状況にある実態が明らかにされた。ただし、「モチベーションが高い」「ひとり情シス」は41.7%であり、「モチベーションが低い」「ひとり情シス」27.3%を上回っており、意欲や意識の高い「ひとり情シス」も存在し、両極の感情があることが判明した。


ひとり情シスのブラック職場?


5. ひとり情シス未満のひとりヘルプデスクの割合は22%


「ひとり情シス」にも様々なタイプが存在するが、IT戦略の立案や基幹システムの開発、インフラ構築、プログラム開発などマルチなスキルを保有する「スーパーひとり情シス」は14.3%存在していることが判明した。一方、ベンダーとの取次業務や、PCセットアップやオフィスツールなどの支援がメインの「ひとりヘルプデスク」は27.2%存在していた。ただし、「ひとりヘルプデスク」は情シスとして一般的な業務要件を満たしていない実情が明らかになった。



6. 89%の経営層がIT・デジタル化に消極的


IT化やデジタル化を進めるには、経営層の積極的な関与が必須である。しかし、経営層が「中期経営計画を組み込んでいる」、「社内にIT・デジタル化の具体的なメッセージを出している」企業は、「ひとり情シス」企業で11.4%であり、情シスが二人以上存在する企業でも14.8%ほどでしかなかった。経営層とエンドユーザの間で苦慮する「ひとり情シス」が数値的に明らかになった。


中堅企業で進捗しないデジタルトランスフォーメーション


7. 88%の企業でリモートワークが定着せず


リモートワークを拡大して定常的運用している企業はわずか12.8%に留まった。エッセンシャルワーカーであるためリモートワークに向かないことや、承認の押印や取引先への請求書発行など紙文化、社員の管理などが、リモートワークを実行する上での問題であることが判明した。さらに、災害などへの備えであるBCPが整備されている企業は18.6%ほどに留まった。



8. ほど遠いデジタルトランスフォーメーション


デジタルトランスフォーメーションを進捗させ、企業競争力や財務的改善、顧客満足度向上などの効果を得ている企業は、わずか10.3%に過ぎなかった。75.6%の企業が予算や人材などの問題を障壁として挙げており、デジタルトランスフォーメーションの実現からほど遠い実情が明らかになった。



9. 約70%の企業がコロナ禍でクラウド利用が進む


68.1%の企業が既に何らかのクラウドを利用しており、さらに今後サーバーをクラウドの方向で検討する企業は71.3%存在していた。これは、オンプレミスを利用している企業の18.3%という割合を大きく上回っており、コロナ禍での在宅勤務対応などにより、クラウド志向の中堅企業が急激に増加している実態が分かった。しかし、「ひとり情シス」企業のクラウドの利用率は中堅企業全般の平均より20%ほど低く、クラウド利用するための準備、構築するリソースが欠如していることが類推される。


今度導入を優先するサーバー環境携帯


10. IT運用にSIerの支援が必要な企業は約63%


81.3%の企業がIT人材不足を感じているものの、採用計画のある企業は15.8%に留まり、採用に慎重な姿勢であった。その結果、システム管理をサポートする外部委託企業(SIer)への委託業務が増加していた。「ほぼ全てを委託している」企業が18.3%、「約半分を委託している」企業が16.7%、「社内リソースを補う部分を委託している」企業が28.4%と、約63.4%の企業がSIer不在ではシステム管理に支障が出る実態が明らかになった。特に、「ひとり情シス」企業では、PC管理を外部委託することも多く、SIerへの依存度がさらに高いことも判明した。



■ひとり情シス・ワーキンググループについて

私たちは、ひとり情シス経験者が運営し、ひとり情シスを支援するワーキンググループです。ビジネスの最前線のITインフラを支え、デジタル化により企業競争力獲得に奮闘するひとり情シスに役立つ情報提供を目指していきます。



■本プレスリリースに関するお問い合わせ先

ひとり情シス・ワーキンググループ

お手数ですが以下の「お問い合わせフォーム」よりお願いします。

https://www.promitwo.org/form.html

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