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報道関係者各位
プレスリリース

2020.10.28 15:00
株式会社ジーンクエスト

株式会社ジーンクエスト(本社:東京都港区、代表取締役:高橋 祥子)は、日本人における食の嗜好性、アルコールの代謝に関連する遺伝子多型、アルコールの摂取習慣に関する研究の成果を、国際学会 American Society of Human Genetics 2020(開催地:アメリカ合衆国、開催期間:10月27-30日)で発表しました。



◆研究の背景

アルコールの代謝に関わる遺伝子(ALDH2)におけるヒト遺伝子多型(SNP)※1は、東アジア系集団に特有に存在し、またさまざまな食習慣や食嗜好と関連していることが近年報告されています。一方で、アルコールの摂取習慣についても、さまざまな食習慣や食嗜好に影響すると考えられています。そこで本研究では、アルコールの代謝に関わるSNPとアルコールの摂取習慣がどのように食嗜好に影響を与えているかを明らかにすることを目的としました。



◆研究成果と今後の展望

本研究では、日本人集団※2を対象に、5つの食の嗜好性(油味、塩味、酸味、甘味、旨味)と、アルコールの代謝に関わるSNP(rs671)、アルコールの摂取頻度について関連解析を行いました。

その結果、アルコールの代謝に関わるSNPは、4つの食嗜好性(油味、塩味、甘味、旨味)と関連があり、また、アルコールの摂取頻度は、3つの食の嗜好性(塩味、酸味、甘味)と関連があることが分かりました。さらに、甘味と塩味の嗜好性については、アルコールの代謝に関わるSNPとアルコールの摂取習慣と相互作用があることが明らかになり、アルコールを週に1回以上摂取している集団では、アルコールに強いタイプほどより甘味の嗜好性が低くなり、アルコールを週に1回以上摂取していない集団では、アルコールに強いタイプほどより塩味の嗜好性が低くなることが示唆されました。


本研究により、食の嗜好性は、アルコールの摂取習慣だけでなく、アルコールの代謝に関わる遺伝子多型とも深くかかわっていることが明らかになりました。これらの研究は、個人の食の好みに関するメカニズムを明らかにする一助となるほか、一人ひとりの体質を考慮した生活習慣病への予防にも応用できる可能性があります。


当社では今後も、研究によって生み出される成果を活かして、より信頼できる遺伝子解析サービスを提供し、遺伝子事業の発展に貢献できるよう取り組んでまいります。



◆発表表題「Food preferences are influenced by ALDH2 genotype and alcohol intake habits in Japanese population.」



■用語解説

※1 スニップと発音され、DNA上のたった一箇所の違いを意味しています。Single Nucleotide Polymorphismの略であり、一塩基多型と訳されます。ゲノム中には300万から1,000万のSNPが存在していると考えられています。重要な遺伝子領域が作りだすタンパク質を変化させる可能性があり、生活習慣病などはSNPsが複雑に関係していると解明されてきています。


※2 本研究は株式会社ジーンクエストが展開している遺伝子解析サービス ジーンクエストALLと株式会社ジーンクエストと株式会社ユーグレナが共同で展開している遺伝子解析サービス ユーグレナ・マイヘルスのデータを活用しています。



■企業情報

社名  : 株式会社ジーンクエスト

所在地 : 東京都港区芝5丁目29番11号 G-BASE田町

設立  : 2013年6月20日

資本金 : 110,000千円(資本準備金含む)

代表者 : 代表取締役 高橋 祥子

事業内容: 個人向け遺伝子解析事業

URL   : https://genequest.jp/



■ジーンクエストリサーチについて

「ジーンクエストリサーチ」は、国内外の企業、研究者等と連携し、主に遺伝子解析キットを通じて蓄積されたゲノムデータを活用し、遺伝子多型と体質、疾患に関する幅広い研究に取り組んでおります。研究活用に関して同意が得られたユーザーのデータを匿名化し、倫理審査委員会により情報の取扱い、提携先における利用目的等の承認を受けた上で、研究活用します。今後も、共同研究パートナー企業、研究者とともに、サービスと研究のシナジーを創出し、新たな価値の創出を目指し実現してまいります。当社では、共同研究の研究者、パートナー企業様を広く募集しております。

ジーンクエストリサーチURL: https://genequest.jp/forbiz/

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