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報道関係者各位
プレスリリース

2020.06.11 11:15
ワールド・ファミリーバイリンガル サイエンス研究所

2020年度、10年ぶりに改訂された学習指導要領が小学校で実施され始めました。注目される教科の一つが「外国語教育」、つまり英語教育です。ワールド・ファミリー  バイリンガル サイエンス研究所(※以下、IBS)<東京都新宿区  所長:大井静雄>はこのたび、公立小学校の教員がどのような不安や課題を抱えながら英語教育に取り組んでいるのかを調査するため、小学校の研修現場を取材しました。

 

その結果、教員の不安を自信に変えていくことの重要性が明らかになりました。

 

全学年の児童を対象に2019年度から英語活動・授業を実施しながら研究成果をまとめた上平井小学校(東京都葛飾区)は、佐藤久美子名誉教授(玉川大学/東京都町田市)へ継続的な研修を依頼。2020年5月中旬、長期間の休校が続くなか、その第一回目がオンライン会議で行われました。

 

この研修では、「担任の先生だから良い」ということが強調されていました。たしかに、小学校で英語の授業を担当する教師の8割以上は学級担任ですが、2018年の文部科学省の調査によれば、英語の教員免許状を所有する公立小学校の教員は約6%。また2014年度の調査では、外国語活動の指導や英語力に自信がない教員が半数以上いることを報告しています。


文科省によれば、2019年度春からは、全国の大学で小学校教員の教職課程内容に「外国語/英語科の指導法」と「外国語/英語科に関する専門的事項」が追加されましたが、現役の小学校教員はこのような専門知識をもっていないのです。

 

一方で佐藤教授は、「英語専科の先生方も増えていますが、やはり担任を経験した英語専科の先生は全然違います」と教員に説明します。例えば、「小学生の子どもたちはどんな場面で英語のone, two, threeを覚えたい、使いたいと思うか?」と考えたときに「給食で残ったものをかぞえるとき」、「運動会の玉入れで赤玉と白玉をかぞえるとき」といった意見は、学校の日常生活や子どもたちの気持ちがわかっていないと出てこない、ということです。

 

現在、小学校の英語教育において、教員の不安は、授業の内容や進め方に影響を及ぼす要因の一つであると考えられています(米崎ほか, 2016)。

 

例えば前述のとおり、英語を教えたことがない自分が授業を担当してよいのかなどはその一部ですが、早期からの英語教育が日本語の発達に悪影響を及ぼすのではないかという不安を感じる教員も少なくありません。

 

ですが、子どもの言語獲得・発達を専門とする佐藤教授は、「小学1年生はまだ日本語が大人のレベルに達していないという前提が(教員はじめ大人に)ある」ことを指摘。「言語の文法能力は6歳くらいで大人と同レベルであり、自分の周囲環境にある母語の音を獲得するのもだいたい1歳までと言われています」と続けます。

 

そして子どもたちの学年や発達段階に合わせてカリキュラムを組みながら研究していく過程では、「1年生でも意外とできるのではないか?」、「2年生はこれができた」、「じゃあ3年生ならこれくらいできる」、という学びの積み重ねで授業内容や指導方法に自信が出てくると、佐藤教授は考えています。

 

このように教員の立場に立って不安を想像し、教員が納得しやすい具体例や学術的根拠を示すことは極めて重要なのではないでしょうか。

 

詳しい内容はIBS研究所で公開中の下記記事をご覧ください。

 

■小学校英語教育:「不安」を「自信」に変える

https://bilingualscience.com/english/%e5%b0%8f%e5%ad%a6%e6%a0%a1%e8%8b%b1%e8%aa%9e%e6%95%99%e8%82%b2%ef%bc%9a%e3%80%8c%e4%b8%8d%e5%ae%89%e3%80%8d%e3%82%92%e3%80%8c%e8%87%aa%e4%bf%a1%e3%80%8d%e3%81%ab%e5%a4%89%e3%81%88%e3%82%8b/


■ワールド・ファミリーバイリンガル サイエンス研究所(World Family's Institute Of Bilingual  Science)

事業内容:教育に関する研究機関

所   長:大井静雄(東京慈恵医科大学脳神経外科教授/医学博士)

設   立:2016年10 月

URL  :https://bilingualscience.com/


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