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報道関係者各位
プレスリリース

2020.02.25 16:00
EMIRA

イノベーション(変革)を「エネルギー」という視点で読み解くことで未来を考えてゆくメディア、EMIRAは、2月22日(土)に、EMIRA×PEPのビジネスアイデアコンテスト企画「EMIRAビジコン2020エネルギー・インカレ」を早稲田大学日本橋キャンパスWASEDA NEOにて実施いたしましたので、当日の様子をご報告いたします。

本大会は、イノベーション(変革)を「エネルギー」という視点で読み解くことで未来を考えていくメディア「EMIRA」と、13大学が連携する5年一貫の博士人材育成プログラム「パワー・エネルギー・プロフェッショナル育成プログラム(以下、PEP)」が共催しました。2030年までの達成をめざす「持続可能な開発目標(以下、SDGs)」に、エネルギービジネスの視点から挑戦するビジネスアイデアを全国の大学生・大学院生(高等専門学校生を含む)から募り、この日、全168チームの頂点が決定しました。

最優秀賞を受賞したのは、養殖藻場によるブルーカーボンの創造と活用について発表した琉球大学の仲泊明徒さん。仲泊さんは、「ビックリしたというのが一番ですが、すごくありがたいことだと思います」と語りました。

また、本大会の審査員の一人、東京電力ベンチャーズ株式会社代表取締役社長・赤塚 新司氏にインタビューを行いました。

<「EMIRA」 URL>

https://emira-t.jp/


<イベントレポート>

■出場5チームのプレゼン内容詳細について

 全国から応募のあった168チームの中から、厳正な書類審査によって選ばれた5チームが本大会に出場。「SDGs×エネルギー」をテーマに、各チームが熱のこもったプレゼンテーションを展開しました。EMIRA最優秀賞は、琉球大学の学生が受賞。発表内容を「EMIRA」で記事化されるという特典と、アマゾンギフト券 30万円分の賞品を獲得しました。その他、KADOKAWA賞はGreen Energy(明石工業高等専門学校・奈良工業高等専門学校)チーム、TEPCO賞はK(金沢工業大学)チーム、優秀賞は椙山女学園大学のチームとプースカフェズ(北九州市立大学)チームが受賞しました。


<EMIRA最優秀賞>琉球大学工学部電気電子工学科 仲泊明徒

テーマ:養殖藻場によるブルーカーボンの創造と活用

発表内容:

琉球大学工学部電気電子工学科、仲泊さんは、地球温暖化の原因となるCO2の削減が必要とされる中、生物による炭素固定能力が注目されている背景を説明し、その中でも藻などの海洋生物によって吸収・固定される炭素である「ブルーカーボン」に着目した「養殖藻場によるブルーカーボンの創造と活用」を提案しました。「ブルーカーボン」は、日本におけるCO2吸収源として204~910万トンのポテンシャルを持っており、都市緑地のポテンシャルと比較すると1.6~7.3倍の結果であり、吸収源として有用であるとのこと。「養殖藻場によるブルーカーボンの創造と活用」が実現することで、CO2を吸収するだけでなく、CO2吸収量をクレジット化したり、藻場をウニ等の海産物と養殖の飼料として活用したり、バイオマス燃料や海藻肥料を燃料として活用できる等、地球温暖化の抑制をはじめとした様々な相乗効果が期待できると発表しました。本ビジネスアイデアは、SDGsの7番(エネルギーをみんなに そしてクリーンに)、11番(住み続けられるまちづくりを)、13番(気候変動に具体的な対策を)、14番(海の豊かさを守ろう)への貢献を想定しています。


<KADOKAWA賞>Green Energy(明石工業高等専門学校・奈良工業高等専門学校) 木村真悠 吉村勘太郎

テーマ:グリーンインフラ×空き家利用

発表内容:

Green Energy(明石工業高等専門学校・奈良工業高等専門学校)チームは、現在、日本のエネルギー自給率が10%未満であることを指摘し、持続可能な社会・自給率回復のために再生可能エネルギーは必要不可欠であると説明しました。そこで、このチームが提案したのが、空き家の上に太陽光パネルを置く、「空き家ソーラー」。SDGs第7の目標である「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」に近づける施策です。今後の日本では、少子高齢化に伴い空き家率が上昇していくと予想されており、景観や治安の悪化による地域への悪影響、住宅施策の非効率化等、空き家が様々な問題を起こしていることに注目。空き家を利用した「空き家ソーラー」を活用することによって、再生可能エネルギーの普及ができるだけでなく、空き家問題の解決をも行う、と話します。「空き家ソーラー」の普及が実現できれば、1.送電網が敷かれていない地域であるオフグリッド地域へ電力が供給でき、2.再生可能エネルギーの普及にも貢献し、3.ゲストハウスや古民家カフェの運営等、観光やコミュニティづくりによって地域活性化にも貢献できる、と説明しました。


<TEPCO賞>K(金沢工業大学・経営情報学科) 高橋克茂 香林亜美

テーマ:意外な新エネルギー!?を利用する車

発表内容:

CO2を利用する技術(CCU)として、エコキュートやドライアイス等の身近なものから、CO2吸脱着バッテリーやエコディーゼル等の事例を紹介したうえで、K(金沢工業大学)チームが提案したのが「エコキュート(ヒートポンプ)自動車」。「エコキュート(ヒートポンプ)自動車」とは、新エネルギーとしてCO2と空気の熱を利用した車のことで、省エネ・安全の観点から、小さな動力でも実用可能な速度40km/h以下でコミュニティ内移動に活用できる小型のシティビークルを想定しているとのことです。CO2を排出しない等のメリットを兼ね備えた環境に優しいスチームエンジンを搭載しており、エネルギー効率の試算によると電気自動車と同等のエネルギー効率を発揮するといいます。既存技術のヒートポンプ+スチームエンジンの組み合わせによるイノベーションのため、実現性は高いと分析し、さらに、人類の基本的な活動である移動に必要な自動車に関するイノベーションであるため、EV同様の市場成長性の高さについても述べました。「エコキュート(ヒートポンプ)自動車」が実現できれば、クリーンエネルギーによるCO2の削減が叶えられることから、SDGsの7番(エネルギーをみんなに そしてクリーンに)、9番(産業と技術革新の基盤をつくろう)、13番(気候変動に具体的な対策)の達成に貢献できる、と発表しました。


<優秀賞>椙山女学園大学

現代マネジメント学部現代マネジメント学科 浅井那月 池田帆乃香 塩崎有紗 山田恵里

テーマ:公共交通機関利用アプリによるSDGs観光

発表内容:

椙山女学園大学のチームは、公共交通機関は少ないエネルギーで多くの人を運べるため、資源と費用の節約になるだけでなくCO2排出量の削減にもつながるほか、車の運転ができない高齢者や子ども、障碍者にも満足の行く観光サービスを提供できるメリットを説明し、「公共交通機関利用アプリ」の提案をしました。椙山女学園大学が着目した観光業は交通、宿泊、飲食、小売等の幅広い産業によって成り立っており、利用者を増やすことで地域の経済を活性化させることから、本事業は観光産業の発展に貢献できる旨も説明しました。その為、「公共交通機関利用アプリ」を導入することで、SDGsの3番(すべての人に健康と福祉を)7番(エネルギーをみんなに そしてクリーンに)、9番(産業と技術革新の基盤をつくろう)、11番(住み続けられるまちづくりを)の達成に貢献できるとのこと。本アプリのアイデアは、フィンランドの「Whim」という MaaSアプリを基に構想したと述べ、「公共交通機関利用アプリ」が活性化することによって、企業の設備投資(券売機、改札等)の削減や、ビッグデータによる事業の多様化等といったミクロ(個人、企業)レベルでの効果が期待できるだけでなく、観光振興による地方創生や、インバウンド需要への対応、キャッシュレス化による混雑緩和や自動車事故の減少(特に高齢者)等のマクロ(社会)レベルでの効果も見込まれると発表しました。


<優秀賞>プースカフェズ(北九州市立大学・国際環境工学部 エネルギー循環化学科)

代表 山手健矢

テーマ:紫外線・光触媒・球を組み合わせたグリース・トラップ等悪臭除去システムの提案

発表内容:

プースカフェズ(北九州市立大学)チームは、微生物や酸化油によって発生してしまうグリース・トラップ(排水溝)内部の悪臭に注目し、チームが開発した光触媒コーティング済ボールを汚水に浮かべ、UV照射することにより悪臭を分解する仕組みである「悪臭除去システム」を提案しました。排水溝のサンプルに対して紫外線LEDを照射した実験では、5時間の照射で99.999%の殺菌効果を発揮したとの調査結果も。実際に大学の生協食堂の排水溝で、この「悪臭除去システム」を実験中とのこと。光触媒や紫外線LEDは、空気清浄機や半導体分野等で採用されていますが、紫外線・光触媒・ボールを組み合わせた「悪臭除去システム」は、今後新しい市場を開拓し、下水道分野への応用、ビルの冷却塔内・井戸水の殺菌、工場の切削油水の腐敗抑制、ダムを光触媒コーティング中空ボールで埋め尽くすこと等、様々な利用方法を発表しました。


日本の未来を担う、最優秀賞受賞者がコメント。赤塚氏は「日本で再エネはもっと広がる。大事なポイントは”電池”」と語る。

大会後、EMIRA最優秀賞を受賞した琉球大学の仲泊明徒さん、および今回の審査員の一人である東京電力ベンチャーズ株式会社代表取締役社長・赤塚 新司氏にインタビューを行いました。


<琉球大学・仲泊明徒さんインタビュー>


―最優秀賞を受賞した、今の率直な感想を聞かせてください。

ビックリしたというのが一番ですが、すごくありがたいことだと思います。


―今回の仲泊さんのテーマである、「ブルーカーボン」に着目したきっかけはなんですか。

沖縄出身ということもあり、海というものに思い至りやすかったのだと思います。そこから、「ブルーカーボン」「藻」というものが頭に浮かびました。「海藻が少ない地域で身が少ないウニが大量発生したが、廃棄キャベツなどを食べさせたら身が増えて美味しくなった」というニュースを見かけたこと等もあって、ウニと藻場、さらにエネルギーとが繋がって今回の研究に至りました。


―この研究の今後について、どのようにお考えですか。

今後の展開についてはまだ具体的にイメージできていないのが正直なところですが、「ブルーカーボン」はまだまだ知名度が低く、取り組みが目立ちにくい分野であると個人的には思っています。まずは、今回の発表・受賞を機に少しでも「ブルーカーボン」が広まって、皆さんの関心が高まったら嬉しいです。


<赤塚 新司氏インタビュー>


―SDGsの実現や新たなビジネスの創出について、学生のアイデアから何か感じるものはありましたか?

やはり学生の皆さんって常日頃から”新しいことを何かやりたい“だとか”この不便さをなんとか解決したい“というすごくポジティブな発想がベースにありますよね。だからこそ、新しい技術や情報に触れた時に、”ひょっとしたらこんなことができるんじゃないか“という発想に繋がっていく。今日の発表を聞いて、新しいチャレンジを生み出すパワー、エネルギッシュなものをあらためて感じました。


―SDGs達成の目標となる2030年、日本はどのような姿になっているとお考えですか?

エネルギー業界の話をすると、資源エネルギー庁でも2030年を目途に、電源構成に占める再生可能エネルギーの割合を現在の10数%から22~24%にすることを掲げており、再生可能エネルギーの普及・拡大が重要視されています。先行する海外の事例を見ても、日本も太陽光や風力を中心に再生可能エネルギーがもっと広がってくると思います。ここで、大事なポイントが「電池」です。家庭に送られる電気や、太陽光のように自家発電した電気を家で貯めることができると、様々な面で活用できます。エネルギーをシェアリングする取り組み等もどんどん増えていくでしょう。また、家を借りる人に家具・家電だけでなくエネルギーまでも全部セットで提供することで快適な環境を生み出すといった、サブスクリプションのようなものも今後もっと広がっていくんじゃないかなと感じています。


―最優秀賞を受賞したアイデアの優れていた点について教えてください。

一つの「藻」というものに着目しながら、「ブルーカーボン」という新たな仕組みを取り入れていこうとするチャレンジブルな発想や、ウニの養殖やバイオマス燃料への展開等、一石三鳥にも四鳥にもなる組み合わせでビジネスを考えていこうというアイデアが、非常に素晴らしいと感じました。あと、仲泊さんご自身についても、一人で黙々と研究する覚悟・強さを感じました。彼は今後すごい人になるのではと期待させますし、応援したくなります。実現に向けて我々も一緒にできることがあったらチャレンジしたいと思っています。


―全国の大学生・大学院生に一言お願いします。

2点あります。1点目は、アイデアを定量的に考える癖をつけてほしい。例えば、何人ぐらいの人がこのサービスを使えばこうなる、何年後ぐらいに実現できそう、といったことです。この意識を持つことで、皆さんの素晴らしいアイデアがビジネス化するまでの時間を短縮できると思います。2点目は、皆さんがワクワクする“こんなことできたらいいな”という発想から出てきたアイデアを大事にしてほしい。我々はできない理由を探したり、答えありきでどうやるかという「HOW」の議論に入ったりしてしまいがちなのですが、皆さんにはぜひ、何をやりたいかという「WHAT」の部分を常に考えてほしい。分からないことがあれば我々のような企業や経験者に聞いてくれれば、定量的なところをどんどん固めることも出来て、いいものになっていくと思います。我々としても、学生さん特有の柔らかいアイデアを組み合わせることは大事だと思いますので、是非どんどんチャレンジしてほしいです。


■EMIRAについて

EMIRA(エミラ)は、イノベーション(変革)を「エネルギー」という視点で読み解くことで未来を考えてゆくメディアです。


<メディア公式サイト>

https://emira-t.jp/

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