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報道関係者各位
プレスリリース

2020.01.27 13:00
株式会社インバスケット研究所

 日本で唯一、リーダー層に必要な能力を測定するツール「インバスケット」を専門的に研究・開発し、年間40,000冊以上の教材を全国へ届けている株式会社インバスケット研究所(本社:東京・江東区、代表取締役社長:鳥原 隆志)は、働き方改革が施行されてからもうすぐ1年となるタイミングを受けて、管理職の“実態”と“本音”に関するアンケート調査を実施しました。

 働き方改革の意識が高まる一方で、独立行政法人労働政策研究・研修機構「男女正社員のキャリアと両立支援に関する調査」(平成26年3月)によると、課長以上への昇進を希望する者の割合は、男性は約3~4割、女性は約7~9割の人が管理職を望んでいないという結果が出ています。昇進を望まない理由としては、責任が重くなることで、仕事量の増加や家庭との両立への不安などに比べてメリットが少ないということが挙げられます。さらに、年功序列型賃金や終身雇用が危うい現代において、管理職になったからといって安定は望めない実態や、様々なクラウドワーキングの普及により、起業やフリーランスになることも容易となり、勤務する会社にしがみつく必要性が低くなっていることも影響していると推測されます。

 今回、そういった世相を背景に管理職の“実態”と“本音”から『管理職の物悲しい現状』が浮き彫りになりましたのでご報告させていただきます。



Topics1:責任感が生んだ勘違い!?

     7割の管理職が部下との心の距離が遠のいた気がして「寂しい」と回答。

Topics2:約4割が本当は管理職になりたくなかった…今後のキャリアプランは「現状維持」。

Topics3:働き方改革の真っ只中!管理職の仕事は給与に見合わない!?

     世代間ギャップからくる育成への悩みも顕著に…

Topics4:管理職に求める3大要素は「判断力・リーダーシップ力・対処力」!



<Topics1>

責任感が生んだ勘違い!?

7割の管理職が部下との心の距離が遠のいた気がして「寂しい」と回答。


 管理職やその部下に対して上司や部下との心の距離感の感覚について聞いたところ、管理職の70.7%が管理職になったことで部下との心の距離が遠のいた気がして「寂しい」と回答。

 その一方で、部下は同質問に対し、73.5%が「そんなことない」と回答しており、管理職が一方的に距離を感じているというギャップが明らかに。管理職としての仕事を全うしようという責任感の強さがゆえに、そのように感じさせているのはないでしょうか。


Q. 管理職になり部下と心の距離が遠くなった気がして、寂しいと感じたことはありますか??(SA、n=338)

Q:部下との心の距離


Q. 同期や先輩(後輩)が管理職になり、心の距離が遠くなった気がして、寂しいと感じたことはありますか?(SA、n=166)

Q:管理職との心の距離



<Topics2>

約4割が本当は管理職になりたくなかった…今後のキャリアプランは「現状維持」。


 管理職になりたかったかと聞いたところ、約4割がなりたくなかったと回答(37.5%)。

 さらに、今後のキャリアプランについて、「現状維持」がトップ(42.7%)となり、リスクを避け安定を求める時代の世相に紐づく結果となりました。

 望んだ役職ではないかもしれませんが、非管理職の8割が管理職になりたくないと回答していることもあり、多くの人が望まない役職を任されるだけの能力と適正があると評価されていると前向きに捉えてみてもよいかもしれません。


Q. 管理職になりたいと考えていましたか?(SA、n=344)

Q:管理職になりたくない


Q. 今後のキャリアプランを教えてください。(MA、n=344)

Q:今後のキャリアプラン



<Topics3>

働き方改革の真っ只中!管理職の仕事は給与に見合わない!?

世代間ギャップからくる育成への悩みも顕著に…


 現状の業務、待遇に満足していますかと聞いたところ、20代は非常に高い結果に。一方、40代・50代は2人に1人が納得していないという悲しい結果となりました。


Q. 管理職を経験した現在、現状の業務・待遇に満足していますか?(SA、n=210)

Q:管理職の満足度


 管理職になりたかった理由は、20代は「業務の幅を広げる」・「裁量ある仕事をしたい」が34.8%で同率首位。30代、40代、50代は「給与アップ」が断トツのトップ(69%、76.8%、80.4%)。60代は、「裁量ある仕事」が71.1%でした。

 その一方で、管理職を経験した現在の不安・不満については、20代は「部下の育成」が38.5%。30代は「業務量の増加」が35.7%で1位。40代は「業務量の増加」・「経営者からのプレッシャー」が45.7%で同率首位、「部下の育成」が44.6%。50代は「経営者からのプレッシャー」36.0%、「部下の育成」34.8%、「業務量の増加」31.5%。60代は「経営者からのプレッシャー」が40.8%で断トツ首位という結果になりました。

 給与UPを目的に管理職になったものの、特に40代、50代は歳を経るごとに増える「プレッシャー・業務量・部下育成・責任」が給与と見合わないと感じる状況に陥っているのかもしれません。

 また、20代管理職は「年上部下との接し方」、終身雇用で育った世代は「ネクストエイジの教育」に悩む姿が、この結果から垣間見ることができます。


Q. 管理職を経験した現在、不安や不満に感じることを教えてください。(MA、n=344)

Q:管理職の不安・不満-1

Q:管理職の不安・不満-2



<Topics4>

部下が管理職に求める3大要素は「判断力・リーダーシップ力・対処力」!


 部下が、理想の管理職に求める要素は、(1)適切な判断・対処ができ、頼りがいのある人(39.7%)、(2)責任を持ってチームを引っ張ってくれる人(34.2%)、(3)部下の意見や考えに耳を傾けてくれる人(31.2%)という結果となり、「判断力・リーダーシップ力・対処力」が重視されていることが明らかになりました。男女別に見ても判断力・対処力を重視する結果に。理想の上司になるためのポイントは判断力・対処力の向上と言えそうです。


Q. あなたにとって理想の管理職はどのような人ですか?(MA、n=509)

男性

1位:適切な判断・対処ができ、頼りがいのある人(38.8%)

2位:責任を持ってチームを引っ張ってくれる人(37.7%)

3位:部下の意見や考えに耳を傾けてくれる人(33.2%)


女性

1位:適切な判断・対処ができ、頼りがいのある人(42.2%)

2位:分かりやすい指示ができる人(28.1%)

3位:仕事に気分の浮き沈みを持ち込まない人(26.7%)



■調査結果のまとめ

 働き方改革関連法が大企業を対象に施行されてからもうすぐ1年。今年の4月からは適用範囲が順次拡大され中小企業も対象となってくるなど、多様な働き方に対応するために変革を求められていますが、多くの企業はまだまだ取り組み始めたばかりの過渡期にいます。

 そんな中、企業と社員の狭間にいる管理職には想像以上のプレッシャーがかかっているはずです。今回の調査結果からも、“経営からのプレッシャー”、“部下の育成”、また、様々なハラスメントが取り沙汰される中での“部下との接し方”など、まさに「悩みが尽きない」状況を目の当たりにすることができました。

 また、大きなプレッシャーを背に受け働く管理職の多くは、その責任感のためか、部下との心の距離が遠く感じているようです。一方で、部下はそのように考えておらず、良い意味での「勘違い」も明らかになりました。もしかしたら、部下も「大変な管理職のお仕事」に日々配慮してくれているのかもしれませんね。

 部下が求める理想の管理職は、「適切な判断・対処ができて頼りがいのある人」。望んで管理職になった方もそうでない方も、自分の力を決して過小評価せずに、理想の管理職を目指して「判断力」を磨いてみてはいかがでしょうか。



■調査に対する有識者からのメッセージ

 管理職になりたくないといった社員の本音は、昔からよく言われてきた事で、今に始まった訳ではありません。現在では(1)多様なキャリア形成(例:スペシャリストコース)が可能になり、管理職になる事がイコール「成功」ではなくなった (2)雇用形態が多様(正社員、契約社員、アルバイト、派遣等々)になった事で一元的に部下を管理できず、マネジメント業務の難易度が増している (3)プレイヤー兼務が基本で、マネジメントに特化出来ないため、管理業務に力点を置けない、といった要因もあり、管理職を敬遠する社員が増加していると推察されます。

 一方、研修等で接点を持つ圧倒的多数の管理職の皆さんは、どのような経緯で管理職になったかに関係なく、「自身に課せられた使命を理解し、役割を遂行していこう」という責任感を持ち合わせており、組織、部下の為により良いマネジメントを実行したい、という気持ちを強くお持ちです。しかしながら、多くの管理職にとってその役職で業務を遂行することが初めてである為、部下の理想からは程遠いマネジメントしか出来ず、本人や部下全員がストレスのかかる状況になっており、「管理職は大変で、敬遠すべき業務である」という社員の意識に繋がっていると考えられます。企業側としては、プレイヤーでの実務経験とマネジメントは全く相違するものと考え、管理職の負担を少しでも軽くする為に、マネジメントスキルの積極的付与等、管理職をサポートしていく姿勢がこれまで以上に求められている事を認識する必要があると考えます。



<プロフィール>

田和 尚久(たわ たかひさ)

株式会社ワークスラボ 代表取締役

中小企業診断士・社会保険労務士・行政書士


生命保険会社、コンサルティング会社を経て15年前に独立。

人事制度設計、教育研修、採用コンサルティング、労務顧問等「人事」に特化したコンサルティングに従事。年間200日程度研修に登壇しており、主に管理職に対してマネジメント手法を指導している。



<調査概要>

【管理職の実態に関するアンケート】

調査時期:2019年月12月16日~2019年12月17日

調査対象:マイナビニュース会員 有職者男女

調査数 :509人

調査方法:マイナビニュースインターネット調査


【管理職の本音に関するアンケート】

調査時期:2019年月12月16日~2019年12月17日

調査対象:マイナビニュース会員 有職者男女

調査数 :504人

調査方法:マイナビニュースインターネット調査



■インバスケットとは

 1950年代にアメリカ空軍で導入されたトレーニングツールで、決済がされていない書類が入った「未処理箱」を意味します。制限された時間内に主人公の立場になりきり、どの職場でも起こりうるような案件を、的確に、かつ迅速に、精度高く処理を行うことができるのかを測るビジネスシミュレーションゲームです。従来の“知識詰め込み”型の研修とは異なり、それまでに行われた教育・研修内容を“実践につなげることができる”というのが大きな特徴です。



■インバスケット研究所

◆会社概要

社名 :株式会社インバスケット研究所

    https://www.inbasket.co.jp/

代表 :代表取締役社長 鳥原 隆志

所在地:東京本社(法人部門のみ)

    〒135-0064 東京都江東区青海2-4-32 タイム24ビル 17階

    大阪本社

    〒599-8237 大阪府堺市中区深井水池町3152 KU深井オフィスビル 4階


◆事業内容

・インバスケット法を用いた個人・法人向け教材開発・販売

・インバスケット法を用いた人材育成、並びに能力開発に関する各種セミナー

・講習会・研修会の企画・開催、並びに運営・管理

・インバスケット法を用いたヒューマンアセスメントに関する情報、並びにサービスの提供

・マーケティングリサーチ業務、及び経営コンサルタント業務

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