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報道関係者各位
プレスリリース

2017.12.25 13:00
ダイキン工業株式会社

ダイキン工業株式会社では、2017年「空気で答えを出すプロジェクト」をスタートさせ、その一環として夏時期には屋内で起きる熱中症の問題や夏の暑い夜に、より快適な環境で良質な睡眠をとるためのエアコン活用法を提案するなど、「空気の課題」を解決するための様々な取り組みを行ってまいりました。


小空間マルチカセット『ココタス』


冬の空気課題というと近年、交通事故や夏の熱中症よりも死者数で上回ることから、冬時期の健康問題として、「ヒートショック」の関心が高くなっています。


近畿大学 建築学部長の岩前篤教授によるとヒートショックとは急激な温度差によって体に起こる悪影響のことで、住宅の断熱性能も高く、冬場はずっと暖房をつけっぱなしで室内は暖かい海外の住宅と比べて、寒い日本の住宅の方がその危険度は高いと話します。現在、日本の住宅では、リビングや寝室などにはエアコンが設置されていますが、脱衣室や廊下などの非居室空間には設置されていないのが一般的です。そのため、脱衣室や廊下など住宅内を移動する際の温度差も課題になっています。


ダイキン工業では非居室空間にも設置可能な、業界最小サイズ(※)の小空間マルチカセット形エアコン『ココタス』を2018年2月27日(火)より発売いたします。これまで脱衣室や廊下のようにエアコンが設置できないと諦めていた場所にも使えるエアコンを上手に取り入れることで、住宅内の温度差を軽減します。

※:天井埋込カセット形の家庭用エアコンにおいて(2017年12月25日現在)


小空間マルチカセット『ココタス』

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制約の多い洗面室などでも設置可能

2畳の脱衣所や半間幅の廊下でも照明などに干渉しない

最大寸法:460mmを達成

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■冬の「低温(温度差)」が引き起こす健康リスク

岩前教授は、ヒートショックは「低温(温度差)」によって起こる様々な健康リスクのひとつなので、本来、ヒートショックだけでなく“冬の「低温(温度差)」が身体によくない=不健康な暮らし方をしている”と認識することが重要なのに、日本人はその認識ができていないと話します。

岩前教授に冬の「低温(温度差)」が引き起こす健康リスクについて詳しくお話しをお聞きしました。



― 近畿大学 建築学部学部長 岩前 篤 教授による解説 ―

岩前 篤 教授(近畿大学 建築学部学部長 建築環境システム研究室)

昭和36年和歌山県生まれ。昭和60年神戸大学大学院工学研究科を修了後、大手ハウスメーカーに入社し、住宅の断熱・気密・防露に関する研究開発に携わる。平成7年、神戸大学にて博士号を授与。平成15年春に同社を退社したのち、近畿大学理工学部建築学科に助教授として就任。平成21年に同教授、平成23年に新設された建築学部の学部長に就任。

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[夏の熱中症よりも大きい冬の「低温」による健康リスク]

ヒートショックとは、急激な温度差や「低温」状態によって体に起こる悪影響のことです。動脈硬化が進みやすい持病がある人が、温度差によって急激な血圧の変化にさらされて、心筋梗塞や脳梗塞、不整脈などを起こすことで発症します。寒くなる冬場に発生率が格段に高くなっていて、ヒートショックが原因とされる入浴中に亡くなる人の数は、11年間で約1.7倍増加しており、現在では交通事故死者数よりも多い数字となっています(図1)。


しかし実は、ヒートショックと呼ばれる循環器系、血管系の病気以外にも呼吸器系、内分泌・代謝など様々な疾患が原因で11月~2月の冬時期に亡くなる人が多くなっていることが分かっています(図2)。本来、ヒートショックだけでなく、冬時期の「低温」が健康によくないと認識する必要があるのです。


夏時期に熱中症の話題がメディアで大きく取り上げられますが、熱中症死亡者数はここ数年で一番多い平成22年でも1,731人です(図3)。熱中症に注意することはもちろん大事ですが、冬の気温低下による健康被害のリスクは熱中症よりも大きいことを認識し、「低温」状態を作らない環境を構築することが重要と言えます。


(図1)

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(図2)

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出典:厚生労働省 人口動態統計


(図3)

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出典:厚生労働省 人口動態統計



[暖かい部屋ほど体の不調が改善]

私が以前行った調査で、新築戸建て住宅に転居した家族を対象に転居前と転居後の体の状態についての変化を調べた結果、断熱性の高い暖かい部屋になるほど、体の不調が改善する結果となりました(図4)。

この結果は裏を返せば低温になると体に不調をきたすということが言えますので、健康のためには冬の間中は低温状態をつくらないように、寝室やリビングだけでなく空間全体を暖かくしておくことが重要です。

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(図4)

断熱グレードと改善率

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出典:近畿大学 岩前研究室



[暖房をきった寒い寝室で寝ている日本人]

日本と海外では寒さに対する考え方がそもそも違います。欧米の人は「寒さは人を弱くする」という考え方のもと、冬時期は暖房をつけっぱなしにしていたり、断熱にも力を入れていますので低温(温度差)による健康被害のリスクは低くなっています。アメリカの州では法律で室温を規定していたり、イギリスでもHHSRS(Housing Health & Safety Rating System)を施行し、室温が低いことで健康に害を及ぼす様々な症状が発症することから部屋の温度を高くして暮らしてくださいというメッセージを発信しています。それは国として生活者に暖房によるエネルギーや費用は増えるけれどその分、医療費が減るので国にとっても生活者にとっても幸せなことですよと言っているのです。


しかし、日本人は「寒さは人を強くする」と考えて寒さを我慢する傾向にあります。以前、私の研究室で、札幌から大阪まで、冬場の寝室の温度を調査したところ、10℃前後が多いことが分かりました(図5)。これは就寝時に暖房をきってしまっていることのあらわれと言えるのではないでしょうか。深夜に起きたときの低温による危険やヒートショックが原因でかかる医療費のことを考えれば、暖房をつけっぱなしにしていたとしてもその電気代の方が圧倒的に安いのに、命をかけて寒さを我慢しているというのが現状です。節約を考えるのは大事ですが健康のためには欧米のように暖房をつけっぱなしにすることが有効です。


(図5)

冬場の寝室の温度(札幌~大阪)

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【温度6℃~13℃】

一般的な日本戸建ての温度帯


【温度15℃~18℃】

日本戸建てに比べて気密性の高い一般的な日本マンション中間階中部屋の温度帯


【温度20℃~25℃】

住宅の気密性が高く暖房をつけっぱなしにしている一般的な欧米の住宅の温度帯


出典:近畿大学 岩前研究室



■世界の空調を知るダイキンが海外と日本の空調の違いを解説

岩前教授の解説にあるように日本と海外では寒さに対する意識が大きく違うようです。欧米では「寒さは人を弱くする」という考えのもと、冬の間中、暖房をつけっぱなしにしているように、国や地域、また文化が違えば、空調に求めるものも変わってきます。世界150ヶ国以上に空調を販売し、世界の空調文化を知るダイキンが日本と海外の空調の違いについて解説します。


[全館空調で家中が暖かいアメリカ、ヨーロッパの空調文化と日本の空調文化の違い]

日本では一般的にエアコンは、居室向けの設備として、リビングや寝室、子ども部屋などで使用されています。そのため、リビングや寝室などエアコンのある場所と廊下やトイレ、脱衣室などエアコンのない場所に温度差が生じてしまっているのが現状です。


一方で、アメリカでは1つの大きなエアコンで温度調節をした空気を居室・非居室にかかわらず、家中の隅々まで送る、全館空調システムが主流となっています。アメリカでは、日本よりも電気代が安いため、暖房をつけっぱなしにしていても日本のように電気代を気にする必要があまりないのです。また、ヨーロッパでは1つの給湯器でお湯を作り、家中の床暖房や、ラジエーターに一斉にお湯を流して空調しています。アメリカでもヨーロッパでもリビングや寝室だけでなく、冬の寒い期間中は住宅内の隅々まで暖かくする全館空調システムが一般的な空調文化となっているのです。


住宅を隅々まで暖かくするという観点ではヨーロッパやアメリカ型の全館空調システムも適していますが、高い省エネ性が求められる日本ではあまり受け入れられておらず、普及はあまり進んでいません。


日本の住宅環境においては、欧米のような全館空調ではなく、生活スタイルに応じてその空間の状況に適した使い方で、せまい日本の住宅内の洗面室や廊下などの小スペースでも取り付けられるエアコンを活用して非居室空間を空調する「全室空調」をお勧めします。「全室空調」であれば、それぞれの部屋ごとに操作が可能なので無人のときには切っておけば、省エネ・低コストにつながります。また、大抵の家庭ではリビングや寝室などの空間にはすでにエアコンを設置している状況なので、現在、使用しているエアコンはそのまま活用して、これまで非居室だった空間に設置していくだけで済むのもポイントです。



■住宅の温度差を軽減する「ココタス」の特徴

[特徴1]

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制約の多い空間に設置可能

2畳の脱衣所や半間幅の廊下でも照明などに干渉しない

最大寸法:460mmを達成

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最小サイズを達成するため、吸い込みの開口を縮小しつつも必要風量を確保する高静圧なターボファンを新開発

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<POINT1>

小部屋にも設置しやすいよう天井埋込カセット形を採用し、部品や構造を根本から見直す事で業界最小寸法を実現しました。


<POINT2>

送風ファンは、小さい吸込口や吹出口でも風量を確保できるよう、新しく開発した、ダウンサイジングターボファンを採用。それに合わせて、吹出口側にはコの字形熱交換器を置き、ファンと熱交換器を高集積に配置することで、本身体サイズを最小限に抑えました。さらに、吹出口にはコの字形のフラップを採用。それにより、足元までしっかり気流を届けます。



[特徴2]

・脱衣室の寒さも素早く解消!

入浴前や、湯上り後の脱衣時も素早く快適にします。

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[特徴3]

・暖かい部屋から遠隔操作で温度差を回避!

長時間滞在する部屋ではないからこそ、無線LAN接続機能を標準搭載し、他室や外出先からもスマートフォンでエアコンを操作できるようにしました。アプリでウィークリータイマーを使い、平日と休日の生活パターンに合わせて、毎日自動で運転をする事もできます。暖かいリビングから寒い脱衣室を事前に暖めておくことも可能です。



[特徴4]

・不在時には「ひかえめ運転」で電気代をコストダウン!

就寝中の廊下や出入りの多い朝の洗面室など、不在時にもエアコンを付けておきたいニーズに応える「ひかえめ運転」を搭載。ひかえめの目標温度で運転し、居室と非居室の温度差を体に負担の少ない範囲に抑えながら、電気代を抑えます。



[特徴5]

これまで諦めていた狭い場所に使用することで「空気のバリアフリー化」を!

業界最小寸法の『ココタス』なら、これまでは諦めていたような狭い空間でも設置することが可能になります。日本の住宅における課題となっていた脱衣室や廊下など住宅内を移動する際の温度差を軽減し、「空気のバリアフリー化」に近づけることが可能になります。



小空間にココタスを設置することで住宅のすみずみまで有効活用!

住まいの小空間にココタスを設置することで、温度差を抑えるだけでなく、実は家族にうれしいメリットも生まれます。たとえば、洗面室が冬でも暖かい快適空間に変わったらゆっくりとお化粧をしたり、お肌や髪の手入れができるようになります。また、廊下が夏は涼しく冬は暖かい空間に変わったら、子どもたちがのびのびと廊下スペースで遊べたり、腰を下ろして本を読める空間となります。

家じゅうがすみずみまで空調された住まいは、家の中にあるこれまで使っていなかったちょっとした空間の有効活用にもつながるのです。

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