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報道関係者各位
プレスリリース

2017.05.22 16:00
高知県 工業振興課 海洋深層水推進室

高知県は、高知大学医学部と3年にわたって臨床試験を行い、日本で初めてとなる<『室戸海洋深層水』由来飲料水の長期飲用による腸内環境への影響に関する研究成果>を発表しました。
具体的な研究成果として、深層水とミネラルウォーターを比較したところ、ヒトの健康と密接に関わる効果があると言われている「短鎖脂肪酸」の産生量の変化に23%もの差があり、且つ、健康や美容に欠かせない「エクオール」の変化量が1.6倍増加することが判りました。
本研究は、高知県が平成26年度に採択を受けた、厚生労働省の「戦略産業雇用創造プロジェクト」による取組の一つで、県をはじめ、高知大学医学部・室戸市・高知海洋深層水企業クラブ・室戸市民など“オール高知の旗のもと、産学官民で連携”して取り組んできました。
高知県は本事業を通して、室戸海洋深層水の更なる利活用の促進と、室戸海洋深層水由来飲料水の飲用による“生活の質”向上を提案します。
※今回の臨床試験で使用した海洋深層水とは、原水ではなく、室戸海洋深層水由来飲料水(硬度1000)のこと。

総有機酸量(短鎖脂肪酸)の変動(平均)



〇検証方法
本研究では、室戸海洋深層水の飲用継続により、人の腸内環境がどのように変化するのかを調査するため、日本で初めて海洋深層水の取水が行われた高知県室戸市で、市民の協力を得て実際に検証してみました。室戸市民95人をランダムに、深層水を飲むA群(49人)とミネラルウォーターを飲むB群(46人)に分割し、3ヶ月間の飲用試験を行いました。もちろん、試験に協力いただいた方には、深層水とミネラルウォーターのどちらを飲んでいるか分からない様にしています。


〇短鎖脂肪酸/エクオールともに深層水飲用群に効果が見られる結果に
このデータをもとに2群間の比較解析を行ったところ、ミネラルウォーターを飲用したB群と比較して、深層水飲料を飲用したA群ではヒトの健康と密接に関わる効果があると言われている「短鎖脂肪酸」の産生量の変化に23%もの差があり、且つ健康や美容に欠かせない「エクオール」の変化量は1.6倍増加していることが判りました。
海洋深層水を長期間飲用することで、海洋深層水に含まれるミネラルの一部が、腸の中に住む細菌たちのエネルギー源となり、腸内が活性化され、腸内環境の改善へと繋がったためと考えられます。

「短鎖脂肪酸」と「エクオール」がヒトの身体に与える影響は大きく、海洋深層水には、腸内環境の改善のみならず、生活習慣病の予防など、生活の質そのものを向上させるパワーが秘められていると言えます。


〇「短鎖脂肪酸」とは
短鎖脂肪酸を摂取するためのサプリメントが市販され、テレビで特集が組まれるなど、近年非常に注目されている物質です。腸内フローラ(腸の中に住む細菌たちの生態系のこと)や腸内環境といった言葉とともに目にすることが多くなっています。
短鎖脂肪酸には、腸内環境の改善をはじめ、大腸がん等の予防、肥満の予防、糖尿病の予防、食欲の抑制、中枢・神経疾患の予防、感染制御、免疫機能の調節といったヒトの健康と密接に関わる様々な効果があると言われています。


〇「エクオール」とは
豆腐や納豆などの大豆製品に多く含まれるイソフラボン類のダイゼインという成分が腸内環境(細菌)で代謝され産生されますが、日本人の30-40%程度しか産生できていません。産生できるヒトでもその量は十分ではありません。エクオールは女性の健康や美容のために欠かせない成分としても知られています。エクオールには、抗がん作用、抗酸化作用、メタボリックシンドローム(高血圧、脂質異常、高血糖)の予防、肥満の予防、更年期障害の緩和などの効果があると言われています。


〇臨床試験のポイントと今後の展開
・海洋深層水の長期飲用が「腸内環境」に対してどのように作用するのかを調べた、日本で初めての研究
・3ヶ月間の長期飲用試験を行うため、100名近くの室戸市民が協力
・高知海洋深層水企業クラブ、高知大学医学部、高知県、室戸市、室戸市民と「産学官民」で連携した、オール高知での取組
・今回の臨床試験で得られた成果を活用し、平成29年度から新たな臨床試験がスタート


〇海洋深層水とは
太陽の光が届かない深海を流れている水のこと。有機物や環境汚染物質などが少なく、清浄性に優れています。海水の表層付近では植物性プランクトンの活動が活発で、光合成のため多くのミネラルが消費されていますが、太陽の光が届かない深海では植物性プランクトンの活動が見られないため、海洋深層水には多くのミネラルが含まれています。


〇「室戸海洋深層水機能性評価事業」について
高知県が平成26年度に採択を受けた、厚生労働省の「戦略産業雇用創造プロジェクト」による取組の一つ。下記の3つのテーマで研究を実施しています。

・検査部「腸管免疫への効果の検証」
・薬剤部「室戸海洋深層水の物質特性と免疫機能効果の検証」
・婦人科「卵巣がん治療後の免疫パラメーター変動と再発率の関連性の検証」

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