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報道関係者各位
プレスリリース

2016.09.06 14:00
一般社団法人日本能率協会

一般社団法人日本能率協会(JMA、会長:中村 正己)は、2013年より全国のビジネスパーソン1,000人に対し、職場や仕事に対する考えについて意識調査を行っています。この調査は、働く人びとに焦点を当て、その時々の旬の話題をデータで紹介するシリーズです。
今回は、政府が最重要課題の1つと位置づける「女性活躍推進」についてとりあげました。

図表1 現在の職場で女性活躍が進んでいると思うか
図表1 現在の職場で女性活躍が進んでいると思うか

■トピックス
1.現在の職場で女性活躍が「進んでいる」と思う人は5割。女性が男性を12ポイント上回る。30代、40代は、他年代に比べ女性活躍推進の実感が薄い。

2.女性活躍「今より進むべき」と考える人は7割弱。30代、40代は他の年代に比べやや消極的。

3.女性活躍「進んでいる」と回答した人の7割超は、職場がビジネスで十分な成果を上げていると回答。一方、「進んでいない」と回答した人では5割と、その差は20ポイント以上。女性がイキイキ働ける環境づくりは、職場全体のパフォーマンス向上に貢献。

4.女性の活躍を推進するために必要だと思うこと、男性1位「女性の意識改革」、女性1位「女性社員に向けた育児・介護両立支援制度」。女性は“意識改革・意欲”より具体的な“制度”を重視。管理職登用は、女性活躍の次のステップか。

5.育児をしながら仕事をする上での悩みは「就業時間の制約」「同僚・部下への迷惑」。一方、男性の半数近くは「悩みはない」と回答しており、男女間で意識のギャップも。

6.育児と仕事の両立には「休暇の取りやすさ」と「柔軟な勤務時間」を求める。上司や同僚の理解など、一緒に働く人たちに対する意識面での取組みも必要。


■調査概要
調査名称   :第7回ビジネスパーソン1,000人調査 【女性活躍推進編】
調査期間   :2016年7月26日(火)~2016年8月1日(月) 7日間
調査対象   :株式会社日本能率協会総合研究所
        「JMARリサーチモニター」のうち全国の20歳~69歳までの
        正規・非正規雇用の就業者(企業や団体で働く正社員、
        役員、経営者、契約・嘱託社員、派遣社員
        ただしパート・アルバイト、医師・弁護士などの
        専門職業、自由業を除く)
調査方法   :インターネット調査
回答数    :1,000人
属性     :(性別)男性556人、女性444人
        (年代)20代159人、30代245人、40代249人、50代202人、
           60代145人
        (雇用形態)正規640人、非正規360人
        (勤務先従業員数)5,000人以上155人、
                1,000~5,000人未満142人、
                300~1,000人未満157人、
                100~300人未満152人、100人未満394人

※回答は%表記とし、小数点第2位を四捨五入


■調査結果
1.現在の職場で女性活躍が「進んでいる」と思う人は5割。女性が男性を12ポイント上回る。30代、40代は、他年代に比べて女性活躍推進の実感が薄い。

・現在の職場で女性の活躍が進んでいると思うか聞いたところ、全体では「進んでいる」が11.7%、「どちらかというと進んでいる」が38.9%となり、女性活躍が進んでいると回答した人は5割でした。
・性別でみると、進んでいると回答した人(「進んでいる」「どちらかというと進んでいる」の計)は、男性45.3%、女性57.2%と11.9ポイントの差があり、女性が男性より女性活躍推進を実感していることがわかりました。
・年代別でみると、進んでいると回答した人は、20代60.4%、30代44.5%、40代45.8%、50代50.0%、60代59.3%と、30代、40代は、女性活躍推進の実感が薄い結果となりました。

図表1 現在の職場で女性の活躍が進んでいると思うか(単一回答)
https://www.atpress.ne.jp/releases/111188/img_111188_1.jpg


2.女性活躍「今より進むべき」と考える人は7割弱。30代、40代は他の年代に比べやや消極的。

・職場の女性活躍が今より進むべきか聞いたところ、全体では「進むべき」が17.8%、「どちらかというと進むべき」が48.8%となり、女性活躍推進を前向きに考えている人は66.6%でした。
・性別でみると、女性活躍推進に前向きな人(「進むべき」「どちらかというと進むべき」の計)は、男性65.3%、女性68.2%となり、差はほとんどみられませんでした。
・年代別でみると、前向きな人は、20代69.2%、30代63.3%、40代62.7%、50代66.3%、60代76.6%と、30代、40代は他の年代に比べやや消極的な結果となりました。

図表2 女性の活躍が今より進むべきだと思うか(単一回答)
https://www.atpress.ne.jp/releases/111188/img_111188_2.jpg


3.女性活躍「進んでいる」と回答した人の7割超は、職場がビジネスで十分な成果を上げていると回答。一方、「進んでいない」と回答した人では5割と、20ポイント以上の差。女性がイキイキ働ける環境づくりは、職場全体のパフォーマンス向上に貢献。

・現在の職場がビジネスで十分な成果を上げていると思うか聞いたところ、全体では、「思う」(10.7%)、「どちらかというと思う」(51.3%)と、約6割の人が成果を上げていると回答。
・女性活躍が進んでいると回答した人(「進んでいる」「どちらかというと進んでいる」の計/506人)と進んでいないと回答した人(「進んでいない」「どちらかというと進んでいない」の計/494人)を比較したところ、成果を上げていると回答した割合は、「進んでいる」が73.7%、「進んでいない」が50.0%となり、23.7ポイントの差がありました。

図表3 現在の職場は十分な成果を上げていると思うか(単一回答)
https://www.atpress.ne.jp/releases/111188/img_111188_3.jpg


4.女性の活躍を推進するために必要だと思うこと、男性1位「女性の意識改革」、女性1位「女性社員に向けた育児・介護両立支援制度」。女性は“意識改革・意欲”より具体的な“制度”を重視。管理職登用は、女性活躍の次のステップか。

・女性の活躍の推進に必要なことを聞いたところ、全体では、1位「女性社員の意識改革」(21.7%)、2位「女性社員に向けた育児・介護両立支援制度」(21.2%)、3位「女性管理職登用制度」(19.6%)でした。
・性別でみると、男性では1位「女性社員の意識改革」(22.8%)、女性では1位「女性社員に向けた育児・介護両立支援制度」(24.8%)でした。男女差の大きい項目は、「女性社員に向けた育児・介護両立支援制度」(女性>男性、6.5ポイント差)、「女性管理職登用制度」(女性>男性、8.1ポイント差)で、女性は“意識・意欲”より具体的な“制度”を必要と考えていることがわかりました。
・一方、必要だと思うことは「ない」と回答した人は約3割(男性:34.4%、女性:27.7%)でした。
・女性活躍が進んでいると回答した人(「進んでいる」「どちらかというと進んでいる」の計/506人)と進んでいないと回答した人(「進んでいない」「どちらかというと進んでいない」の計/494人)を比較すると、進んでいる1位「女性管理職登用制度」(23.7%)、進んでいない1位「女性社員の意識改革」(22.1%)でした。差の大きい項目は、「女性管理職登用制度」(進んでいる>進んでいない、8.3ポイント差)、「女性登用に対する管理職層の理解・協力」(進んでいる>進んでいない、6.3ポイント差)で、いずれも女性登用に関する項目でした。

図表4 女性の活躍推進のために必要だと思うこと(複数回答)
https://www.atpress.ne.jp/releases/111188/img_111188_4.jpg


5.育児をしながら仕事をする上での悩みは「就業時間の制約」「同僚・部下への迷惑」。一方、男性の半数近くは「悩みはない」と回答しており、男女間で意識のギャップも。

・育児経験のある人351人*(男性:209人、女性:142人)に育児をしながら仕事をする上での悩みを聞いたところ、男女とも1位「就業時間に制約がでる」(男性23.0%、女性30.3%)、2位「同僚・部下に迷惑がかかる」(男性21.5%、女性29.6%)、3位「仕事以外のつきあい(飲み会など)ができない」(男性12.0%、女性19.0%)となりました。
・一方、「悩みはない」と回答した人は、女性25.4%に比べ、男性44.0%にのぼり、男女の意識ギャップが目立ちます。

図表5 育児をしながら仕事をする上での悩み(複数回答)※上位8項目
https://www.atpress.ne.jp/releases/111188/img_111188_5.jpg

*調査対象1,000人のうち、子供がいない人、子供はいるが育児をしていない/したことがない人を除く


6.育児と仕事の両立には「休暇の取りやすさ」と「柔軟な勤務時間」を求める。同時に、上司や同僚の理解など、一緒に働く人たちに対する意識面での取組みも必要。

・育児と仕事を両立させるために職場にあるとよいと思うことは、男女とも1位「休暇を取りやすい雰囲気」(男性32.9%、女性49.8%)、2位「柔軟な勤務時間」(男性27.3%、女性38.5%)でした。他に、「上司の理解」(男性25.9%、女性29.5%)、「同僚・部下の理解」(男性22.7%、女性27.5%)が上位にあげられており、上司や同僚など周囲の人の理解を進める取組みも同時に必要であることがうかがえます。

図表6 育児と仕事を両立させるために職場にあるとよいと思うこと(複数回答)※上位8項目
https://www.atpress.ne.jp/releases/111188/img_111188_6.jpg


■結果を受けてのコメント(一般社団法人日本能率協会 会長 中村 正己)
<まずは育児・介護と仕事の両立支援から>
女性活躍に必要なことについては、男女とも「女性社員に向けた育児・介護両立支援制度」を上位にあげる一方、育児と仕事の両立を聞いた結果からは、男女の当事者意識や負担感の違いがみられました。
30代・40代の子育て世代が他年代に比べ女性活躍に消極的である要因の1つも、育児と仕事の両立の難しさにあると推察されます。
多くの企業で育児・介護両立支援が進められていますが、「イクボス」という言葉もあるように、上司・同僚など職場全体の理解促進を含めた一層の取組みが期待されます。

<次のステップは女性管理職登用>
女性活躍に必要なことについて、活躍推進度合で比較すると、女性管理職登用への意識に大きな差がありました。2016年4月の女性活躍推進法の施行で企業は具体的な行動計画を策定していますが、ビジネスパーソンが肌で感じる女性活躍の次のステップは女性管理職登用と言えそうです。

<女性活躍推進は職場全体の働き方改革と一体で>
女性活躍の推進度合と、その職場の成果の発揮度合いをクロス分析した結果から、女性活躍推進の取組みが当事者である女性のみならず、男性も含めた職場全体のパフォーマンス向上に寄与していることがうかがえます。育児と仕事の両立のために欲しいこととして上位にあげられた「休暇の取りやすさ」「柔軟な勤務時間」といった施策は、「働き方改革」として職場全体で推進することで、女性活躍推進と職場の生産性向上やモチベーションアップとの相乗効果が期待できます。

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